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平成27年条例予算特別委員会 本文 開催日:2015-03-12

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  1. 福岡市議会 2015-03-12
    平成27年条例予算特別委員会 本文 開催日:2015-03-12


    取得元: 福岡市議会公式サイト
    最終取得日: 2021-05-07
    ↓ 最初のヒットへ(全 0 ヒット) 1  3月12日  午前10時0分開会         〃 11時13分休憩        午後1時10分再開         〃 2時50分休憩         〃 3時0分再開         〃 3時45分休憩         〃 4時0分再開         〃 5時3分休憩         〃 5時15分再開         〃 5時45分閉会 議案審査  議案第27号ないし議案第110号、議案第112号、以上85件を一括して議題とし、審査を行った。  なお、意見・質疑の概要は次のとおりである。 2 ◯阿部(正)委員 福岡市民クラブを代表し、がん対策について、がんの教育についての2点について質問する。まず、がん対策についてであるが、国の総医療費が30兆円を超える今日、医療や介護などの社会保障費の増嵩は大きく財政を圧迫し、国を挙げての対策が求められる中、我が国の三大疾病の1つであるがんについて、日本人の2人に1人が、一生のうちにがんになると言われており、さらに日本人の死亡原因のトップを占め、2012年のデータでは、1年間に約36万人が亡くなっている。がんによる死亡者数について、全国並びに本市の推移を尋ねる。 3 △保健福祉局長 悪性新生物、いわゆるがんによる全国の死亡者数については、平成15年が約31万人、平成20年が約34万3,000人、平成25年が約36万5,000人となっている。また、本市における死亡者数は、平成15年が約2,800人、平成20年が約3,300人、平成25年が約3,600人となっている。なお、部位別に見ると、全国、本市とも、第1位が気管、気管支及び肺のがん、第2位が胃のがんとなっている。 4 ◯阿部(正)委員 この10年間で、がんによる死亡者数が、全国で約18%、5万5,000人増の36万5,000人、本市では約28%、約800人増の3,600人と、増加の一途である。そこで、総医療費におけるがんにかかわる治療費の占める割合について、全国並びに本市の状況を尋ねる。 5 △保健福祉局長 24年度の国民総医療費に対するがんの医療費割合は11.7%であり、また、平成24年5月の本市国民健康保険の総医療費に対する割合は13.0%となっている。 6 ◯阿部(正)委員 医療費に対する割合は、単年度調査であり、経年比較はできないようであるが、本市の割合が全国と比べ高い状況にあることは、本市ががんの死亡者数の増加率が高いことが影響していると推測される。がんの対策として、特に言われているのが早期発見、早期治療であるが、本市におけるがん対策の内容、対象人員、受診者数、予算、決算の推移を尋ねる。 7 △保健福祉局長 本市では、がんの早期発見のため、職場等で受診機会のない市民を対象に、保健福祉センター医療機関等で胃がん、大腸がん、子宮頸がん、乳がん、肺がん、前立腺がんの検診を実施している。また、一定年齢の市民に対する子宮頸がん、乳がん、大腸がん検診無料クーポンの配付による受診勧奨や、がん検診及び特定健診を一緒に受診できる総合健診の実施などによる受診環境の整備にも取り組んでいる。本市のがん検診の対象人数については、それぞれの検診により対象範囲が異なるが、最も対象範囲が広い胃がん、肺がん、大腸がんでは、22年度の国勢調査に基づき推計すると、約36万7,000人となっている。受診者数については、胃がんは23年度約3万2,400人が25年度約3万5,700人に、肺がんは23年度約1万200人が25年度約1万5,000人に、大腸がんは23年度約2万7,600人が25年度約3万7,700人に、それぞれ増加している。がん対策事業費の決算額は、23年度は10億7,600万円余、25年度が11億4,200万円余で、3年間で約6%増加している。
    8 ◯阿部(正)委員 がんに対する市民意識の高まりであるのか、受診者数は年々伸びているものの、胃がん検診では対象者の10%、肺がん検診では4%、大腸がん検査では10%程度にとどまっている。これまでのがん対策の効果とあわせ、今後の対策を尋ねる。 9 △保健福祉局長 がん検診手帳無料クーポン券を配付するがん検診推進事業を行った結果、実施前の20年度と25年度を比較すると、子宮頸がん検診では約1万2,000人、乳がん検診では約6,300人、受診者数が増加している。また、大腸がん検診でも、実施前の23年度と比べ、25年度は約1万人増加している。今後は未受診者へのクーポン券の再交付や、ダイレクトメール等による受診勧奨を行うほか、検診の結果、精密検査が必要となった人への医療受診勧奨を実施し、がんの早期発見と早期治療の促進を図っていく。 10 ◯阿部(正)委員 早期発見や早期治療など、これまでもさまざまな取り組みを行っているが、さらに注力するよう要望する。がん予防については、喫煙、飲酒、食事、運動など生活習慣を改善することで将来的にリスクを低くすることができると言われているが、全国、本市とも、がんによる死亡者数の第1位は、気管、気管支及び肺のがんとなっている。たばこの煙には発がん物質が多く含まれており、また、吸わない人でも受動喫煙によって、そのリスクが高まると言われている。国立がん研究センターの資料では、喫煙男性ががんで死亡する危険性は、吸わない人との比較では、がん全体で2倍、肺がんに至っては4.8倍となっている。また、がんは生活習慣とのかかわりも深く、塩分をとり過ぎないことなどの食事面、運動不足にならないような適度な運動、飲み過ぎない適度な飲酒、感染対策など、生活習慣に気をつけることで、多くのがんを予防することができると言われている。生活習慣病予防のための特定健診、特定保健指導について、政令市平均並びに本市の受診率、指導実施率の推移を尋ねる。 11 △保健福祉局長 特定健診受診率の政令市平均は23年度が25.5%、25年度が26.8%であり、本市は23年度が19.5%、25年度が22.1%となっている。また、特定保健指導実施率政令市平均は23年度が16.1%、25年度が15.9%であり、本市は23年度が35.4%、25年度が38.5%となっている。 12 ◯阿部(正)委員 特定健診、特定保健指導における受診率、指導実施率について、他政令市との比較を尋ねる。 13 △保健福祉局長 25年度の本市の特定健診受診率は、政令市20都市中上から15番目であるが、23年度から3年間の伸び率は1.3%で、政令市中上から2番目となっている。また、特定保健指導の実施率は、政令市平均より高い状況で推移しており、23年度以降は、政令市中最も高い実施率となっている。 14 ◯阿部(正)委員 受診率も若干ながら増加傾向にあるようだが、政令市中受診率は下位、一方で指導実施率は上位となっているが、それぞれの要因について尋ねる。 15 △保健福祉局長 本市においては、国民健康保険の被保険者に健診の重要性が十分に浸透していないことなどが低受診率の要因であると考えており、他都市よりも高い特定保健指導実施率を保っている要因としては、健診委託医療機関による特定健診の実施と、特定保健指導の実施の徹底が図られていることなどが考えられる。 16 ◯阿部(正)委員 特定保健指導の実施率が高いことについては、徹底が図られているためということで、喜ぶべき状態ではあるが、もととなる特定健診を受診して初めて特定保健指導につながるため、これからも取り組みを強化されたい。健診の重要性が十分に浸透してないことなどが要因とのことであるが、特定健診未受診者について、未受診の理由などの追跡調査を行っているのか。 17 △保健福祉局長 24年度に40~74歳の国民健康保険の被保険者1,000人を対象に行った市民アンケートの結果では、未受診者が健診を受けない理由として、定期的に通院、面倒、時間がないなどが多い。 18 ◯阿部(正)委員 がん対策等は早期発見、早期治療に尽きるため、がんや生活習慣の危険性について、引き続き市民への注意喚起や検診の必要性の周知を要望する。次に、特定健診、特定保健指導における医療費適正化の効果について尋ねる。 19 △保健福祉局長 平成26年11月に厚生労働省が公表した資料によると、20年度の特定健診受診者のうち保健指導を受けた40~64歳の人の翌年度1年間の入院外医療費は、保健指導を受けていない人の医療費よりも、男性は5,340円、女性は7,550円低くなっており、一定の効果があるものとされている。 20 ◯阿部(正)委員 効果も数字にあらわれており、しっかりと取り組まれたい。がん対策生活習慣病対策が連動した健康寿命の延伸も重要な課題だと思うが、厚生労働省の資料によると、男性は平均寿命79.6歳に対し、健康寿命70.4歳で約9年の開き、女性は平均寿命86.3歳に対し、健康寿命73.6歳で約12年の開きがある。さきの県議会においては、平均寿命と健康寿命の差を1年縮めると、約81億円の介護費が縮減されるという試算も出されている。健康寿命の延伸にも、増嵩する社会保障費にも大きく影響するがん対策、特定健診、特定保健指導の今後の充実へ向けた取り組みについて尋ねる。 21 △保健福祉局長 がん対策については、がんが日本人の死因の第1位であることから、今後、さらに力を入れていく必要がある。また、特定健診、特定保健指導は、生活習慣病の予防を図るとともに、がんのリスク軽減も図られると考えており、今後も、市政だよりやホームページ等により市民に対する啓発を進めるとともに、医療機関と協力して受診勧奨を進めていく。さらに、がん検診と特定健診との連携を強め、両者をあわせた総合健診や健康づくりサポートセンターでの土日祝日や平日夜間の健診など、受診環境を拡大するとともに、特定健診の個別受診勧奨に合わせて、がん検診の勧奨も行うなど、受診率の向上に取り組んでいく。 22 ◯阿部(正)委員 次に、がんの教育について質問する。がん対策についてはがんに対する正しい知識や検診の重要性などが市民に十分に伝わっているとは言いがたい。本市は、がんの教育モデル事業に取り組んでいるが、学校教育におけるがんの教育の現状について尋ねる。 23 △教育長 学校教育におけるがんの教育の現状については、小学校6年生では保健、中学校3年生では保健体育の授業で喫煙とがんの関係について、高等学校1年生では保健の授業で生活習慣病の一つとして、それぞれ1時間程度学習している。 24 ◯阿部(正)委員 わずか1時間程度では正しい知識も身につかないと思う。本市は、26年度におけるがんの教育総合支援事業に応募し、がんの教育公開授業としてモデル授業を実施しているが、内容と事業の背景について尋ねる。 25 △教育長 がんの教育総合支援事業の実施については、国が、24年度にがん対策推進基本計画を策定し、がん患者を含む国民ががんを知り、がんと向き合い、がんに負けることのない社会を目指していること、さらに、学校における健康教育の中でも、国民の2人に1人の割合でかかるがんは重要な課題であり、国民の健康に関する基礎的な知識として必要不可欠であることなどを背景とするものである。教育委員会としても、子どもたちの健やかな体や豊かな心を育むために、がんの正しい知識を身につけることや、命の大切さを学ぶことは大変重要であると捉え、文部科学省のがんの教育総合支援事業に応募した。がんの教育の内容については、小学校、中学校、高等学校、各1校のモデル校を指定し、がんの知識について教育委員会が作成した教材を使用して、学級活動や保健の授業で指導し、さらに医療関係者やがんの経験者などが、命の大切さについての講話を行う市独自のモデル形式として取り組んでいる。 26 ◯阿部(正)委員 命の大切さを伝える講話については、外部団体と連携し、子どもたち医療従事者やがんの経験者から直接話を聞く機会を得られていることは大変貴重であり、本市の独自の取り組みとして評価したい。命の大切さについて講話する外部団体との連携の目的と、その効果について尋ねる。 27 △教育長 外部団体との連携については、命を大切にする心を育むことを目的としており、その効果は、がんの経験者から、闘病生活のときにも希望と笑顔を忘れずに病気に立ち向かい克服したことや、家族や友人の支えが大きな力になったこと、また、健康なときには気づきにくい命の大切さを改めて感じたことなど、体験に基づいた話を聞くことで、子どもたちが前向きに生きることのすばらしさや、家族、友人の大切さについて、これまで以上に強く感じるようになったと考えている。 28 ◯阿部(正)委員 子どもたちは授業でがんについて学び、さらに、医療従事者からの知識とがんの経験者の実体験を直接聞くことで、がんに対する意識が高まるものと、大いに期待している。がんの授業をよりよいものにするために、子どもたちへのアンケートにより、効果を検証する必要があると思うが、アンケートは実施したのか。実施していれば、内容と結果についても尋ねる。 29 △教育長 アンケートについては、がんは身近な病気だと思うかなど、がんのイメージについて、子どもたちを対象に授業の前後で実施している。結果については、がんは身近な病気だと思うと回答した子どもの割合が81.0%から97.4%に、命の大切さを学ぶことができると回答した割合が78.0%から97.5%に、家族とがんについて話し合おうと思うと回答した割合が49.1%から84.3%に上昇している。 30 ◯阿部(正)委員 肯定的な回答がふえているという結果のようであるが、アンケート結果を踏まえ、全体的にどのような効果があったのか、所見を尋ねる。 31 △教育長 がんの教育を行った効果については、がんに対する正しい知識やがん患者への理解、命の大切さなどへの子どもたちの意識が高まったと捉えている。 32 ◯阿部(正)委員 2月4日の西日本新聞に、東区の千早小学校で実施されたがんの授業を取材した記事が掲載されている。まず、担任教諭から、日本ではがんは2人に1人にできる病気という話を聞くと、子どもたちはびっくりしたような反応があり、次に、がんとはどんな病気かということや、がんができる原因について、たばこや煙、酒、運動不足などが説明されている。がんができたとしても、早く発見して治療すれば治ること、検査を受けることが大事であること、がんになっても治った人は大勢いること、がんは人から人にうつる病気でないことなどをしっかりと授業で教えている。さらに、がんの患者の支援などを行うNPO法人のメンバーの記事も掲載されていたが、当該メンバーは看護師でありながら、がんの患者でもあることから、専門家でもあり、体験者でもあるということで、子どもたちにもその説明がよく伝わったのではないかと思っている。がんは身近な病気であること、命は大切であること、がんについて家庭で話題とすることなどのほか、資料によれば、早期発見のためには検診が重要であること、がん患者への理解が深まったことなど、がんの授業の後に、子どもたちのがんに対する意識が高まっていることから、さらなる内容の充実を図るべきである。次に、福岡市がんの教育連絡協議会の役割とメンバー構成について尋ねる。 33 △教育長 福岡市がんの教育連絡協議会の役割については、がんの教育の具体的な目標やがんの教育の進め方について検討を行うこと、教材作成などについて指導助言を行うこと、事業の成果について検証を行うことなどである。メンバーは、医療関係者3人、学校関係者3人、保健福祉局から1人、教育委員会から2人の合計9人であり、その中にはがんの経験者2人も含まれている。 34 ◯阿部(正)委員 福岡市がんの教育連絡協議会の役割として、資料の作成等もあるようだが、小学校用と中学校用があり、中学校用はかなりレベルの高い内容で、読みやすい工夫がなされている資料であり、評価したい。次に、27年度におけるがんの教育の内容と予算について尋ねる。 35 △教育長 27年度のがんの教育の内容については、モデル校を小学校7校、中学校7校、高等学校1校の合計15校に拡大し、指導方法や教材の充実に向けて研究していく。また、福岡市がんの教育連絡協議会において、引き続き指導方法や教材の改善などについて協議していく。予算は、講師の報償費と福岡市がんの教育連絡協議会の運営費などとして38万6,000円を計上している。 36 ◯阿部(正)委員 26年度は3校でのモデル事業のほか、小中学校8校で独自に開催していると聞いており、子どもたちのがんに対する意識は高まり、大変大きな効果をもたらしていることから、27年度はモデル校を15校にとどめず、さらに工夫して、拡大するよう検討を求める。本市のがんの教育における今後の方向性について尋ねる。 37 △教育長 今後の方向性については、がんの教育についての教職員研修を実施するとともに、モデル校を拡大し、指導方法の改善と教材の充実に努めていく。その後、できるだけ早い時期に小学校、中学校、高等学校での完全実施を目指していく。 38 ◯阿部(正)委員 小中高での完全実施のためには、本市が独自で採用している外部団体との連携について、命の大切さを語るがん経験者や専門職である医療従事者などの講師の数を充実させることも重要であり、この点についても検討を進めるよう要望する。最後に、我が福岡市民クラブでは、学校教育において市民性を育む教育カリキュラム、シティズンシップ教育の必要性を予算要望、あるいは代表質問で取り上げてきた。社会性、市民性を育むという観点から、シティズンシップ教育との位置づけで、国民的疾患であるがんの教育、医療や介護、年金などの社会保障制度の教育について、早急に取り組むよう要望する。これらの問題は、国民的、社会的課題として、子どもたちが社会人になったときに直面する大きな課題である。来年夏の参議院議員選挙では、有権者年齢が18歳まで引き下げられることが想定されているが、社会的課題をさまざまな角度から学ぶことを通じて、他者の考えを理解し、理性的に考え、自分自身で判断し、行動する力を身につけることが求められており、まさにこれこそシティズンシップ教育ではないかと考える。未来の有権者を育てていくためにも、早急な導入を求める。 39 ◯黒子委員 東日本大震災の全ての被災者の方々の御冥福と、被災地の本格的な復興を祈念するとともに、東北の方々と心を一つにして、寄り添っていかなくてはならないと決意をしたところである。公明党福岡市議団を代表して、公共施設マネジメントについて質問する。まず、27年度当初予算案について尋ねる。現在、国においても予算審議の真っ最中であるが、予定されていた平成27年4月からの消費税の引き上げを延期したにもかかわらず、財政健全化は進めるとして、2020年度までにプライマリーバランスを黒字化するとしている。27年度はともかく、28年度以降、地方財政が相当厳しい状況にさらされることは間違いない。そのような状況の中、本市の27年度予算規模は一般会計7,820億円、特別会計8,784億円、企業会計が2,487億円で、合計1兆9,090億円となっている。まず、予算案のポイントについて説明を求める。 40 △財政局長 27年度予算案の予算規模については、全会計合計では、企業会計における予算規模の検証などにより、26年度当初予算より減少しているが、一般会計では社会保障関係費や公共施設等の改修、修繕等に係る経費の増加等に伴い、26年度当初予算より増加している。また、財政規律と投資のバランスを図りながら事業の優先順位の最適化を行うとともに、子育て、教育環境の充実など、真に必要な施策、事業を積極的に推進するために必要な予算を確保し、本市を次のステージへと飛躍させるチャレンジを進めるための予算編成を行ったところである。なお、27年度末の全会計の市債残高は、26年度末と比較して363億円の縮減となる見込みである。 41 ◯黒子委員 本市の財政構造については、財政状況をわかりやすくまとめた「財政のあらまし」において、本市財政の特徴をどのように示しているのか。 42 △財政局長 「財政のあらまし」の、平成26年10月版の第4章においては、本市の財政構造の特徴として、1、かつての集中的な社会資本整備により多くの資産が形成された反面、多額の市債残高を抱えて財政が硬直化、2、少子高齢化の本格化と社会資本の老朽化による大量更新期の到来の2点を掲げている。 43 ◯黒子委員 これらの課題に対応するため、平成25年6月に策定した行財政改革プランにおいて、政策的経費の財源を確保するとしているが、数値目標及び27年度予算案における財源確保の取り組みについて尋ねる。 44 △財政局長 行財政改革プランでは、重要施策の推進や新たな課題に対応するため、26年度から28年度までの3年間で450億円以上の財源を確保する目標を掲げている。27年度予算案の編成に際しては、退職手当の引き下げによる人件費の抑制や市税収入率の向上、市有財産の有効活用などによる歳入の確保などの取り組みにより、約85億円の財源を確保したところである。 45 ◯黒子委員 国と地方を合わせた借金総額は約1,000兆円とも言われ、我が国の財政状況は深刻さの度合いを増している。高島市長は、都市の成長の果実を生活の質の向上へ振り向けると、よく言うが、それだけではとても足りるような状況ではない。子ども医療費だけ見ても、27年度に入院費については中学3年生まで拡大するが、通院費の拡大についてはこれからであり、多額の財源が必要となってくる。現状を大胆に見直し、財源を生み出していく取り組みが必要である。先ほど、本市財政構造の特徴として、かつての集中的な社会資本整備により、多くの資産が形成された反面、多額の市債残高を抱え、財政が硬直している、さらに、少子高齢化の本格化と社会資本の老朽化による大量更新期が到来しているとの答弁があったが、そのようなことを踏まえると、公共施設保全に向けた取り組みを進め、長期的に財政負担の軽減に努めていかなければならない。そこで、公共施設マネジメントについて質問する。平成26年4月、総務省は全国の自治体に対して公共施設等総合管理計画を策定するよう求めたが、その背景と内容について尋ねる。 46 △財政局長 国が各地方公共団体における公共施設等総合管理計画の策定を求める背景については、地方公共団体において厳しい財政状況が続く中で、今後、人口減少等により公共施設等の利用需要が変化していくことが想定されることを踏まえ、早急に公共施設等の全体の状況を把握し、長期的な視点を持って更新、統廃合、長寿命化などを計画的に行うことにより、財政負担を軽減、平準化すること等が必要になっているとの認識が示されている。また、公共施設等総合管理計画の内容については、公共施設等の現況及び将来見通しや公共施設等の総合的かつ計画的な管理に関する基本的な方針などを記載することが適当であるとされている。 47 ◯黒子委員 総務省の公共施設等総合管理計画策定取り組み状況等に関する調査によると、平成26年10月1日現在、28年度までには都道府県及び全ての指定都市が、市区町村においても98%の団体において策定が完了する予定との結果が示されている。本市はこれについてどのように取り組んでいるのか。 48 △財政局長 本市においては、平成20年9月に福岡市アセットマネジメント基本方針を策定しており、この基本方針を公共施設等総合管理計画と位置づけて支障ないとの国の確認を得たところである。 49 ◯黒子委員 平成20年9月に策定した福岡市アセットマネジメント基本方針を、改めてじっくり読んだが、確かにすばらしいものができている。これだけのものを6、7年前によくつくったと感動している。しかし、策定から数年が経過し、公共施設マネジメントをめぐる議論は大きく変わっていると思うが、アセットマネジメント基本方針策定後の取り組み状況について尋ねる。 50 △財政局長 福岡市アセットマネジメント基本方針策定後の取り組み状況については、平成22年9月に福岡市アセットマネジメント実行計画を策定し、さらに平成25年6月には第2次福岡市アセットマネジメント実行計画を策定しており、施設の長寿命化、施設の統合、複合化、施設の有効活用、光熱水費などの運営費や維持管理経費の削減など、幅広い取り組みを進めているところである。 51 ◯黒子委員 さいたま市も、平成22年から4年かけて、平成26年に策定した公共施設マネジメント計画第1次アクションプランをもって、総合管理計画としたいとしていたが、その委員の1人から、策定に要した4年間に公共施設マネジメントをめぐる議論は、ハードウエアの更新問題だけにとどまらず、施設の運営経費の節減や受益者負担による運営経費の回収など、総合的な財源確保策として検討しなければならないというように、時代が大きく変化したと指摘されている。さいたま市は計画と実践のギャップにちゅうちょし、苦しんでいる。平成27年1月に、統一的な基準による地方公会計の整備促進についての大臣通知がなされ、固定資産台帳の整備が義務づけられる方向が明確となっている。固定資産台帳を整備することができれば、整備も含めた老朽化の度合いを実態に即して算定することができるようになるが、本市では固定資産台帳を整備しているのか。 52 △財政局長 地方公会計制度に係る本市のこれまでの取り組みについては、発生主義の活用及び複式簿記の考え方の導入を図った国のモデルに沿って、20年度決算から貸借対照表、行政コスト計算書、純資産変動計算書、資金収支計算書の財務書類4表を作成し、毎年度公表しているところである。議員指摘のとおり、平成27年1月の総務大臣通知において、原則として27年度から29年度までの3年間で、全ての地方公共団体において、固定資産台帳の整備と複式簿記の導入を前提とした統一的な基準による財務書類等を作成することが求められたところであり、本市においては、国から示されたマニュアルを踏まえるとともに、今後配付が予定されているソフトウエアの活用も視野に入れ、各局等が保有する資産情報の集約、整理に取り組み、固定資産台帳の整備を進めていく。 53 ◯黒子委員 東京都町田市は、固定資産台帳を整備することにより、小中学校や本庁舎、市営住宅、公民館や保育所など施設別に分類して、施設分類別資産老朽化比率を示しているが、そのことにより、建物の老朽化比率や個別の資産の消耗度などから、老朽化が明らかになったとしている。町田市の施設分類別資産老朽化比率については、町田市全体の取得価格が1,813億円、減価償却累計額が842億円、残存価格が971億円である。施設別の記載によれば、例えば、小学校の残存価格が190億円、減価償却累計額が280億円、取得価格が470億円であるため、老朽化比率が約60%となる。本庁舎等は残存価格が195億円、減価償却累計額が45億円、取得価格が240億円であるため、老朽化比率は約19%であり、町田市の本庁舎は老朽が進んでないというように、一つ一つの施設の老朽化が明確に示されることになる。本市においても、早急に固定資産台帳を整備し、施設分類別資産老朽化比率を明らかにし、固定資産台帳を公共施設マネジメントに活用してほしい。また、固定資産台帳を整備し、施設とそれに伴う事業ごとに行政コスト計算書と貸借対照表を作成すると、合理的な施設マネジメントをシミュレーションすることができるようになる。公共施設マネジメントと公会計改革は車の両輪であると思うが、公会計との連動についてはどのように考えているのか。 54 △財政局長 固定資産台帳の整備等を前提とした統一的な基準による財務書類等の活用については、国から示されたマニュアルにおいて、公共施設等マネジメントへの活用が、活用事例の一つとして例示されていることも踏まえ、活用を検討していきたいと考えている。 55 ◯黒子委員 全国に先駆けて複式簿記を採用した東京都は、財務諸表の活用で総額1兆円もの隠れ借金を発見し、解消している。さらに、税収減に備えた基金を1兆円積み増すことができたということである。固定資産台帳を整備することにより、施設の更新費用や売却する場合の価値などを算出できるようになるが、市民に対して客観的なデータを示すことで、施設の建てかえや統廃合などについて、市民の理解が進むようになるのではないかと考える。公共施設のマネジメントは、ただ単に公共施設の老朽化対策にとどまらず、将来的なまちづくりの取り組みであると考えており、将来の公共施設のあり方について、市民にわかりやすい説明が求められているが、新たな公会計制度をどのように活用していくのか。 56 △財政局長 固定資産台帳の整備等を前提とした、統一的な基準による財務書類等により得られるデータを、公共施設の将来のあり方の検討に生かすという視点は重要だと考えており、その活用を検討していきたいと考えている。 57 ◯黒子委員 総務省は、総合管理計画策定に当たっての留意事項を幾つか示しているが、その中で、PPPやPFIの活用について、公共施設の更新などに際しては、民間の技術、ノウハウ、資金等を活用することが有効なこともあるので、総合管理計画の策定に当たっては、PPPやPFIの積極的な活用を検討されたい。また、公共施設等の情報を広く公開することが、民間活力の活用につながることが予想されるので、公共施設に関する情報については、積極的な公開に努めることとしている。民間事業者への情報の公開及び活用については、どのように考えているのか。 58 △財政局長 議員指摘のとおり、公共施設等の更新などの際のPPP、PFIの活用については、重要な視点であると認識している。福岡市アセットマネジメント基本方針においても、PFIなど新たな事業手法の導入を促進していくこととしており、また、平成24年4月に策定した官民協働事業への取り組み方針も踏まえ、一定の事業については、早い段階から民間事業者への情報提供を行い、民間発案を促しているところであり、このような取り組みを引き続き進めていく。 59 ◯黒子委員 平成25年6月、民間資金等活用事業推進会議において決定されたPPPやPFIの抜本改革に向けたアクションプランにおいては、公共施設等運営権制度、いわゆるコンセッション方式を活用したPFI事業を、空港だけではなく、上下水道事業も想定しているため、水道事業の経営について尋ねる。水道事業は企業会計であり、将来にわたって安定的な事業経営が求められており、よりアセットマネジメントの考え方を取り入れ、施設の更新を行っていかなければならない。昭和40年代から集中的に整備してきた本市の膨大な水道施設は、間もなく一斉に更新時期を迎え、再構築の時代に入っていくが、本市水道事業の目指すべき将来像及びその実現の方向性について、どのように定めているのか。 60 △水道事業管理者 水道事業については、平成16年に、国において全国の水道のあるべき姿が示され、その中で、各水道事業者は目指すべき将来像やその実現の方策を示す地域水道ビジョンを策定することとなっている。本市においては、平成21年に30年度まで10年間の運営方針や目標を明確化し、より効果的、効率的に施策を推進するための福岡市水道長期ビジョンを策定している。また、長期ビジョンの実現に向けた実施計画として、平成25年に第2次の福岡市水道中期経営計画を策定し、28年度までの4年間に取り組むべき事業や財政収支計画を示しており、現在これらの計画に基づき、各施策に着実に取り組んでいるところである。 61 ◯黒子委員 31年度以降の水道長期ビジョン及び29年度以降の中期経営計画の策定には、いつから着手するのか。 62 △水道事業管理者 次期の水道長期ビジョン及び中期経営計画については、27年度から策定に向けた準備に着手していくこととしている。 63 ◯黒子委員 水道事業を取り巻く経営環境は、さまざまな点で変化してきており、大きな転換点を迎えている。そこで、本市の水道事業の経営状況について、27年度の料金収入、損益、企業債の残高は、26年度と比較してどのようになっているか。 64 △水道事業管理者 27年度の料金収入については、消費税抜きで約308億円を見込んでおり、冷夏の影響があった26年度最終予算の約305億円に対し、約3億円の増を見込んでいる。27年度の損益は約45億円の黒字を見込み、26年度に比べ約28億円の増となっている。なお、この増加分については、26年度の公営企業会計基準の大幅な見直しに伴う、一時的な費用等の計上による影響が約20億円あり、26年度に比べ、実質約8億円の増となっている。また、27年度末の企業債残高は約1,318億円の見込みで、26年度末に比べ約26億円の縮減となる見込みである。 65 ◯黒子委員 水道事業は中長期的な視点を持って経営を行っていかなければならない。改めて料金収入等の長期的なトレンドを尋ねる。料金収入については、ピーク時から現在に至るまで、どのような状況で推移しているのか、その間の損益の状況とあわせて説明を求める。 66 △水道事業管理者 料金収入については、12年度がピークで、約337億円であったが、大口利用者の地下水利用への切りかえ等による節水が進んだことなどにより、年々減少し、27年度は約308億円の見込みとなっている。また、この間の損益の状況については、料金収入のピークであった12年度は約30億円の黒字で、その後、営業費用の削減などにより、料金収入の減を補い、同程度の黒字を確保し、27年度は26年度からの会計基準の変更による形式的な収入の計上である17億円を含め、45億円の黒字を見込んでいる。 67 ◯黒子委員 料金収入のピークは、平成12年で337億円であったが、料金収入は減少傾向で推移し、27年度予算では308億円と、ピーク時より29億円も減少している。26年度から会計基準が変わっているため単純に比較はできないが、26年度及び27年度について、旧会計基準で試算してみると、ピーク時の12年度は30億円、27年度は28億円であり、料金収入は下がっているが、損益は同じような水準で黒字を確保している。27年度の企業債残高は約1,318億円とのことであるが、他の政令市などと比べて、これはどのような状況にあるのか。 68 △水道事業管理者 企業債残高については、金利の低下による支払い利息の減少や、経営の効率化により支出を削減し、収支の黒字を確保し、縮減に取り組んできたが、27年度末の企業債残高は約1,318億円と、料金収入約308億円の約4.3倍に上る高い水準にある。他の政令指定都市などの大都市の平均は、25年度決算の数値で約2.1倍となっており、他の大都市と比べ、おおむね2倍の規模となる企業債残高を抱えており、大変厳しい状況にある。 69 ◯黒子委員 企業債の残高のピークは12年度で、1,674億円である。27年度の見込みは1,318億円であるため、ピーク時と比較すると356億円縮減したことになる。企業債残高の1,318億円は、料金収入308億円の4.3倍に当たる。政令市や大都市の企業債残高の平均は、料金収入の2.1倍であり、本市の企業債残高を、他の政令市や大都市並みの2.1倍まで下げるためには、さらに648億円減らさなければならない。この15年間で約356億円減らしてきたが、今後、356億円の倍近い648億円を縮減していかなければならず、大変な状況である。東京都の企業債残高は本市の約2倍の約2,600億円であるが、東京都の料金収入は約3,000億円であり、本市の308億円と比較しておよそ10倍であり、東京都の企業債残高は、年間の料金収入の中におさまっている。本市の企業債残高が料金収入の約4.3倍というのは、非常に厳しい状況にあると考えるが、所見を伺う。 70 △水道事業管理者 本市は、政令指定都市で唯一市内に1級河川がないという地理的条件のため、水資源に恵まれておらず、昭和53年及び平成6年の異常渇水時には、約300日にも及ぶ給水制限を余儀なくされ、市民生活や経済活動に多大な影響を及ぼしている。この水不足を克服するため、筑後川からの導水による広域利水のほか、全国的にも珍しい揚水式ダムである長谷ダムの建設や福岡地区水道企業団による海水淡水化施設の整備など、水の安定供給を最優先課題として取り組んできており、現在も全国で初めての渇水対策容量を持つ五ヶ山ダムの建設を進めているところである。この過程において、その財源を企業債に求めざるを得なかったことから、現在、料金収入の約4.3倍もの企業債残高となっている。企業債残高が多いということは、償還や利払いの負担が大きく、また、金利上昇のリスクもあることから、安定経営を持続するため、今後とも黒字を確保し、まずは他の大都市の平均である2倍程度の数字を目指し、縮減に努めていきたい。 71 ◯黒子委員 水道事業管理者の経営責任の重大さに敬意を表する。昨年の決算時期に、水道事業の経営について参考になる数値やデータについて調べたところ、東京都水道局のホームページに、水道事業ガイドラインに基づく137項目の業務指標があったが、水道事業ガイドラインとはどのようなものか。 72 △水道事業管理者 水道事業ガイドラインは、全国の水道事業者等から成る日本水道協会が、平成17年に制定した全国統一の指標算出方法で、137項目の指標で構成されている。水道事業の多岐にわたる業務を数値化することにより、他の事業体との比較評価がしやすく、目標や施策の決定、説明責任の遂行などに活用されることを目的としている。 73 ◯黒子委員 水道事業ガイドラインを掘り下げて見ていくと、本市の水道事業の特徴など、さまざまなものが見えてくる。例えば指標番号2103の経年化管路率について、21年度から25年度までの指標においては、21年度の5.4から、6.0、8.5、12.7、14.8と、少しずつ上がっているが、これからどのようなことがわかるのか。 74 △水道事業管理者 経年化管路率は、水道管路のうち法定耐用年数40年を経過した管の割合を示すもので、更新需要の指標ともなるものであるが、全国的な傾向と同様に、本市においても年々数値が上昇しており、管路の老朽化が進行していることを示している。 75 ◯黒子委員 経年化管路率は、21年度の5.4から25年度は14.8へと数値が上昇しており、かなり管路の老朽化が進んでいると言える。また、指標番号2104の管路の更新率は、21年度から25年度までの数値が、1.12、0.96、1.08、0.98、0.76と、少しずつ下がっている。指標番号2104の管路の更新率と、指標番号2103の経年化管路率を重ね合わせると、どのようなことが見えてくるのか。 76 △水道事業管理者 管路の更新率は、管路の総延長に対し、その年度に管路の更新を行った距離の割合を示す指標である。本市においては、管路の総延長約4,000キロメートルに対し、毎年約40キロメートル程度の更新を実施し、毎年の更新率は1%前後で推移している。配水管の更新については、現在、腐食対策が不十分な、昭和53年以前の管を中心に、漏水の履歴や路線の重要度などから、優先順位をつけて計画的に取り組んでいるが、このままのペースでは、更新一巡に100年を要するため、ペースアップが必要と考えている。 77 ◯黒子委員 法定耐用年数が40年で、このままのペースでは、更新が一巡するのに100年かかるということであり、大幅なペースアップが必要である。企業債残高も縮減していかなければならないわけであるから、大変な経営判断を強いられていくことになる。次に指標番号3014の供給単価については、21年度から25年度まで、222円20銭、221円10銭、220円、219円20銭、218円80銭と、少しずつ下がっており、指標番号3015の給水原価についても21年度から25年度まで、220円80銭、215円60銭、213円50銭、213円80銭、208円と下がっているが、指標番号3014と3015の指標からどのようなことが見えてくるのか。 78 △水道事業管理者 供給単価については、家事用や家事以外の用など、料金単価の異なる全ての用途を含めた収入と、水量から計算した水道料金1立方メートル当たりの平均単価を示すものである。近年は、毎年微減傾向にあり、その要因としては、人口の増加に伴い、料金単価が安い家事用の水量が増加していることや、ホテルなど大口利用者の地下水利用などにより、家事以外の用の単価の高い水量が減少したことによるものである。次に、給水原価については、お客様に水道水を届けるまでの全ての費用を料金収入の対象となる水量で除した数字で、水道水1立方メートル当たりの生産コストを示すものである。経営の効率化などによる費用削減を図ることで、給水原価は減少傾向で推移しているが、より一層の低減化に努めていく。なお、給水原価、供給単価とも、政令都市では高い部類に属している。 79 ◯黒子委員 生産コストはこの5年で12円80銭下がっているが、水道料金の平均単価は3.4円しか下がっていない。これについては次の課題にしたい。2つの例を示したが、水道事業ガイドラインに基づく137項目の指標は、他の政令市などとも比較しやすく、大変有用なデータであり、活用の仕方がもっとあると思うが、水道長期ビジョンや次期中期経営計画に、どのように反映させてきたのか。 80 △水道事業管理者 水道事業ガイドラインの指標の中には、事業運営の評価などに活用できるものもあり、各種の計画立案等に際しての参考としているほか、一部の指標については、本市水道長期ビジョンなどの成果指標として用いている。また、本市水道事業の経営の厳しさなどを強調する客観的なデータとしても使用している。 81 ◯黒子委員 ガイドラインに基づく業務指標は、使い方によっては大変なお宝であり、市役所の中だけで活用していくのではもったいない。東京都水道局は、将来の首都東京にふさわしい水道施設の再構築を考える会を設置して、東京にふさわしい水道施設の再構築に向けた基本構想を策定するということである。考える会の6人のメンバーは、大学教授、一級建築士、水問題の専門家など、そうそうたるメンバーである。本市も、次期の長期ビジョンや中期経営計画の策定に当たっては、専門家から成る委員会を設置し、数値によるデータを積み上げ、水道事業の見える化を目指すべきであると考えるが、所見を伺う。 82 △水道事業管理者 最近、全国的に水道事業の経営の厳しさが報道されているが、本市においても、料金収入が減少傾向にある中で、施設の更新需要は本格化していくという厳しい状況となっている。このような状況を踏まえた上で、次期水道長期ビジョンなどの重要な計画を検討する際には、広く情報を開示するとともに、さまざまな分野の専門家の意見を十分に伺いながら検討していきたいと考えている。 83 ◯黒子委員 数値化を進めることによって、客観的な把握ができるようになる。また、専門家の目に触れることにより、精度の高い判断が可能になると考える。さらに、東京都水道局は、幅広く外部の意見を求めながら、今後の事業経営のあり方を検討していくため、学識経験者や都民の代表で構成する東京都水道事業経営問題研究会を設置している。さらに、議事内容をホームページに掲載するなど、都民に広く公表もしている。また、インターネットモニター調査を実施するなど、意見や提言を広く求め、研究会での調査研究に役立てていくとともに、水道行政に反映させている。本市は、市民の理解と協力を得ながら、他都市にはない節水型都市づくりを進めてきたという歴史があることから、市民も含めて、新しい時代の水道事業経営について議論ができる環境をつくっていくことが求められている。学識経験者や市民の代表で構成する仮称福岡市水道事業経営問題研究会を設置し、議論を深められたい。水道事業の最後に、施設マネジメントを含めた水道事業の経営について、管理者の見解と決意を伺う。 84 △水道事業管理者 水道事業は、本市にとって将来も必要不可欠な重要なライフラインであり、2度に及ぶ大渇水の経験からも、長期的、安定的に水道水を供給していく大切な責務があると認識している。そのためには、水道施設の継続した維持更新が極めて重要であり、それを支える企業債残高の確実な縮減による安定経営が不可欠である。これらの取り組みを着実に推進していくためには、50年後、100年後を見据えた水道事業の方向性をしっかりと検証した上で、当面の課題に取り組んでいく必要があり、水道局内部では、長期的な施設整備のあり方や、収支シミュレーションなどを行っているところである。次期の水道長期ビジョンや中期経営計画を策定する際には、それらの試算もオープンにして、今後の計画を立案していきたいと考えており、その際には学識経験者を初め、さまざまな分野の専門家の意見や市民の意見を聞くことは大変重要であり、そのような提案の仕組みも検討していく。 85 ◯黒子委員 ここまで水道事業について質問してきたが、水道より少し時期がおくれて整備を進めてきた下水道についても、時間差はあるが、間違いなく大量更新の時期がやってくる。本市の財政構造の特徴からすると、公共施設マネジメントは行財政改革のど真ん中に位置づけるべきものであると考える。先ほど紹介した、さいたま市の総合管理計画を策定した委員は、都市戦略会議のメンバーである市長や副市長である。全庁的な意識の共有及び縦割りを超えた意思決定の実施体制が必要であり、予算編成の権限を持つ経営責任者である市長が先頭に立って進めていくべきである。市長は、「FUKUOKA NEXT」といって、福岡を次のステージへ飛躍させると言うが、まさにその舞台づくりであり、舞台装置でもある公共施設マネジメントについて、最後に、市長の責任ある答弁を求める。 86 △市長 議員指摘のとおり、公共施設マネジメントについては、公共施設を安全、安心に維持し、良質な公共サービスを持続的に提供できるよう、アセットマネジメントの推進に計画的に取り組むことが重要であると認識している。そこで、長期的な視点で市有施設の長寿命化を進め、財政負担の軽減や平準化を図るとともに、施設の状況に応じて更新や、また改築を進めるため、近年アセットマネジメント事業に係る予算を、一般会計、全会計とも拡充し、必要額を確保しているところである。また、全庁的に総合的なアセットマネジメントの取り組みを推進するために、他の政令指定都市に先駆けて、財政局内にアセットマネジメント推進部を設置し、アセットマネジメント施策の全庁的な統括や総合調整に取り組んでいるところである。今回提案いただいた事項も踏まえ、アセットマネジメントの取り組みを全庁挙げてしっかりと推進していく。 87 ◯中山委員 日本共産党市議団を代表して、早良区地域交流センター、市長の出張問題並びに市長にかかわる政治と金の問題について質問していく。まず、早良区地域交流センターについて質問する。早良区地域交流センターに関する新年度予算と、その内訳について尋ねる。 88 △市民局長 早良区地域交流センターに係る27年度予算額については、1,225万8,000円となっている。内訳としては、基本構想、基本計画策定や事業手法検討のための委託費として1,080万円、その他事務費として145万8,000円となっている。 89 ◯中山委員 これまでの検討状況、今後の課題及びスケジュールはどうなっているのか。 90 △市民局長 現在までの検討状況としては、早良区地域交流センターは8年度に策定した第7次基本計画に位置づけられた4つの地域交流センターの1つであり、早良区中南部における行政サービスの補完施設として整備の検討を進めていた。平成26年6月に、UR都市機構より、四箇田団地の集約型団地再生事業に伴って発生する用地に誘致の申し出があったことから、同年7月に庁内検討会を立ち上げ、四箇田団地を含む早良区中南部の4つのエリアで候補地の検討を進めた結果、四箇田団地内の2カ所が整備地として適当であると考えているところである。今後の課題としては、導入機能や事業手法の検討がある。また、スケジュールとしては、27年度に基本構想や基本計画の策定などを行い、28年度以降に基本設計、実施設計などを行う予定である。 91 ◯中山委員 四箇田団地の候補地においては、現在居住している住民の追い出しや家賃引き上げへの不安も聞かれるが、UR都市機構の計画はどうなっているのか。 92 △市民局長 UR都市機構が実施する四箇田団地の集約型団地再生事業とは、団地の一部の低層住棟を解体し、その跡地を活用して、団地や地域の魅力を向上させる新しい機能の導入等を図る事業と聞いている。この事業に伴うUR都市機構の対応については、既に団地居住者全員を対象とした事業概要説明会を実施し、移転対象者に対しては、四箇田団地内での移転先住宅のあっせんや移転費用の負担などを行うと聞いている。 93 ◯中山委員 市長には、住民の負担増や強硬な追い出しを行わないようUR都市機構に求め、あわせて地域交流センターの役割や設置の意義について、関係住民に丁寧に説明してもらいたいと思うが、所見を伺う。 94 △市民局長 早良区地域交流センターに係る住民への説明については、早良区自治協議会代表者会議での説明を初め、出前講座や早良区役所が実施する事業など、さまざまな機会を捉えて、丁寧な説明を行っていきたいと考えている。 95 ◯中山委員 早良区地域交流センターの機能について、どのような組織で検討していくのか。 96 △市民局長 同センターの導入機能については、現在、関係局、区の課長等で構成した実務者レベルの検討会を立ち上げており、今後、所要の検討を進めていく。 97 ◯中山委員 今後の検討に当たっては、例えば、せっかくつくった多目的ホールが大きな音は出せず、無目的ホールになるなどの問題が起きぬよう、役所内部だけでなく、住民の参画のもと、住民要望や提案を反映させる仕組みにすべきだと思うが、所見を伺う。 98 △市民局長 早良区地域交流センターの導入機能については、既存の地域交流センターが有する機能を中心に、早良区役所と連携して、まずは、市民の意見を聞いていく。 99 ◯中山委員 住民の声を聞かず、検討会で決めたものを押しつけることにならないよう求めておく。この計画が動き出すに当たって、子育て中のお母さんたちなどで立ち上げられた「地域に子どもの場所をつくる会」では、改めて住民にも呼びかけて学習会が持たれ、自治会役員も参加するなど、積極的な取り組みが始まっている。その中で、例えば、専門職員のいる子どもの居場所をつくってほしい、プールが欲しい、年寄りの交流の場所に、学校に行けない子の受け皿もあったほうがよいなどの切実な願いが出されているが、このような願いを受け入れるべきではないか。 100 △市民局長 早良区地域交流センターの導入機能については、公平性の観点から、既存の3つの地域交流センターが有する機能が中心になると考えており、それ以外の機能については、まずは、市民の意見を聞くなどニーズの把握に努め、検討会において関係局と必要性を含めた検討を行っていく。 101 ◯中山委員 もう一つ大事な点は交通アクセスの問題である。とりわけ南部の内野や脇山方面からも利用しやすくするためには、バスの利便性向上は必須の課題であるが、どう取り組もうとしているのか。 102 △市民局長 早良区地域交流センターまでの交通アクセスについては、関係局、区と連携しながら、今後検討を進めていく。 103 ◯中山委員 早良区南部においては、早良ニュータウンや内野陽光台など、丘陵地にある住宅地において公共交通不便地が広がっており、既に生活交通を保障するコミュニティバスなどの必要性が大変高まっている。早良区地域交流センターの検討においては、このような地域の交通問題を解決することとセットで考える必要があるが、コミュニティバスの検討状況を尋ねる。 104 △住宅都市局長 早良区南部地域における公共交通としては、生活交通条例に基づき、バス路線の休廃止に伴い公共交通空白地となる地域における代替路線として、脇山支線と板屋脇山線の継続的な運行支援に取り組んでいる。また、地域が主体となった取り組みとしては、内野7丁目の早良ニュータウンや早良7丁目の陽光台などで、生活交通確保に向けた地域での活動が始まりつつあり、市も協議会の立ち上げや参画など支援に取り組んでいる。 105 ◯中山委員 住民の交通手段の確保は行政の責任である。住民からの動きがなければ放置するというのはあってはならないことと指摘しておく。早良区地域交流センターについては、早良区南部の住民が利用できないようでは本末転倒である。早良ニュータウン、内野陽光台、それぞれから出発するコミュニティバスを走らせ、入部出張所、老人福祉センター早寿園を経由して、早良体育館、地域交流センター、スーパーなど買い物できる場所を通る循環ルートをつくることは有効な手だてである。既存の西鉄バスのルートとつなげば利用者はふえるため、検討してもらいたいと思うが、どうか。
    106 △住宅都市局長 早良区南部地域の生活交通確保については、公共施設や病院など日常生活を支える施設へのアクセスなどの観点にも配慮し、地域住民の交通の実態を踏まえて、地域、交通事業者、行政で協力して検討を行っていく。 107 ◯中山委員 検討組織については、交通、子ども、教育、高齢者、文化などの所管課を入れて、総合的なものに充実させるべきではないか。 108 △市民局長 早良区地域交流センターについては、現在、関係局、区の課長等で構成した実務者レベルの検討会で検討を進めており、必要に応じて関係局の参画を得ながら、所要の検討を進めていく。 109 ◯中山委員 整備手法については、既にPFIなどが検討され始めているようだが、経費縮減や民間活用を口実に、民間大手のもうけづくりに利用することは許されない。検討、整備、運営まで、市の直営でなされるべきであると考えるが、所見を伺う。 110 △市民局長 整備手法については、本市の官民協働事業への取り組み方針に基づき、基本計画検討時に、PFIなど官民協働事業の可能性について検討を行うこととしている。 111 ◯中山委員 最初から民間ありきというのはやめてもらいたいと思う。早良区地域交流センターは、南部の振興策の柱にも位置づけられるべきものであり、早期整備が求められている。設置場所はもちろん、機能も含めて、住民参加と合意のもとで、交通利便性の向上と一体に進め、民間企業の利益優先ではなく、市が運営に直接責任を負うものにすべきだと思うが、市長の答弁を求める。 112 △市長 早良区地域交流センターについては、市民がお互いに支え合う、自立したコミュニティがあるまちづくりの実現のため、早期の整備が必要だと考えている。現在、四箇田団地内の2カ所を整備候補地として検討を進めており、今後とも市民や議会の意見を聞きながら検討を進め、1日も早く開館できるように、スピード感を持ってしっかりと取り組んでいく。 113 ◯中山委員 結果的に十数年も先延ばししてきた責任は重大である。住民が歓迎する形で早期実現を図られるよう求め、市長の出張問題に移る。昨年は、市長の出張をめぐる数々の問題で、職員も議会も大変迷惑を受けた。昨年の11月21日付で、「旅費事務の適切な事務処理について」とする通知が出されたようだが、内容の説明を求める。 114 △総務企画局長 通知文書の内容については、先般の旅費支給事務の誤りが、旅行命令の変更が速やかに旅行命令書に反映されていなかったこと、日当に関する関係局間での調整が不足していたこと、精算時の領収書等の確認が不十分であったことなどが原因であったことから、これらの内容に関して、適切な事務処理を行うよう周知を図ったものである。また、旅行命令書の記載内容等の見直しの検討を行っており、見直し内容がまとまり次第、改めて通知することとしたものである。 115 ◯中山委員 言われているのは、全部市長のことである。市長が起こした問題で、2人の課長名で通知が出されているが、市長は反省しているのか。 116 △総務企画局長 先般の旅費支給事務の誤りについては、情報共有の徹底や根拠資料の確認が不足していたという事務処理のミスによるものであることを真摯に反省した上で、旅費支給事務の処理手順等を記載した旅行命令書の作成マニュアルや精算に係る事務フローを作成し、全庁に周知することにより、再発防止を図っており、今後このようなことがないよう適切な事務処理を行っていく。 117 ◯中山委員 職員が悪かったかのような言いぐさだが、全部市長が決裁者であることから、市長自身が反省してもらわないと困る。出張先でプライベートな時間に切りかえるやり方はやめないのか。 118 △市長 私は勤務時間の定めがない特別職であり、政治的な活動を含む公務外の用件を伴う出張についても、責任を持って出張先での公務を果たしており、往復の旅費が支給されることは問題のないことだと考えている。しかしながら、市民の納得性を高めるため、みずからを厳しく律することとし、出張先で公務外の用件が生じた場合には、公務外に係る旅費を減額することとしているものである。その公務外の用件についても、重要な用件について、公務である東京出張の機会を捉え、さまざまなキーパーソンと意見交換やネットワークを構築しているものであり、福岡市政にとって有益なものだと思って活動している。このたび、一部の旅行命令などにおける手続において、事務的な誤りがあったことを踏まえ、今後はこのようなことがないように再発防止策を徹底し、適切な事務処理を行うとともに、出張スケジュールの調整にも配慮していきたいと考えている。 119 ◯中山委員 そんなことではまた問題を起こすため、やめるべきである。次に、昨年11月に予定されていたアメリカのシアトルとシリコンバレーへの出張について尋ねていく。日程間際になって突然延期されたこの出張は、新年度に実施するのか。また、予算には計上されているのか。計上されているなら金額は幾らなのか。 120 △経済観光文化局長 本市のスタートアップ都市づくりの参考とするための米国出張については、新年度での実施を予定しており、その経費として、約550万円を計上している。 121 ◯中山委員 そもそも必要性があったのかが問われているが、いつ、誰が企画したのか。また、目的、予定の日程はどうなっていたのか。 122 △経済観光文化局長 昨年計画していた出張については、スタートアップ都市の実現に向けた政策立案の一環として、世界的なスタートアップ先進地の経験に学ぶとともに、本市への投資促進を図ることを目的として、経済観光文化局で企画し、副市長、市長に確認した上で決定したものである。具体的には、11月30日に福岡を出発し、12月6日に帰国する予定で、シアトル市、シリコンバレーを訪問することとしていた。シアトル市では、現地企業に対し、本市の投資環境等をトップセールスすることを予定しており、シリコンバレーでは、インキュベーション施設の視察、ベンチャーキャピタル経営者や学者など有識者との意見交換、並びに現地行政機関との連携協議などを行う予定としていた。 123 ◯中山委員 市長選挙の直前に企画され、日程は市長選挙後である。選挙の結果、市長がかわるかもしれないのに、余りにも無謀な計画だったのではないか。市長がみずからの出張命令書に印を押しているが、どう考えているのか。 124 △市長 国家戦略特区については、27年度末までを集中取り組み期間とするものであり、特区の効果を最大限に生かすためには、スピード感を持って次のステージに向かう必要がある。そこで、創業を促進するための本市の特色を生かした仕組みの構築のために、世界的なスタートアップ先進地の経験に学ぶとともに、本市への投資促進を目的として、シリコンバレー及びシアトル市への訪問を企画したものである。 125 ◯中山委員 キャンセル料を含め、無駄になったのは合計幾らか。 126 △経済観光文化局長 出張に立つ10日ほど前に、急遽延期を決定したことにより発生した経費は、キャンセル料を含め、約170万円である。 127 ◯中山委員 先乗り職員の旅費も含めると、約200万円が無駄になっている。なぜ延期したのか。誰がどのような経緯で、いつ判断したのか。 128 △経済観光文化局長 出張の延期については、昨年11月18日の夜、急遽、安倍総理が消費税増税の先送りと衆議院の解散を表明した。これに伴う情勢の急変を受け、特区に関連して、早期に情報収集に努め、速やかに対応できる体制をとる必要があると、経済観光文化局において判断し、副市長、市長に確認した上で、やむを得ず出張を延期することを決定したものである。 129 ◯中山委員 視察目的と特区関連法情勢の急変とは関係ないと思うが、どうか。 130 △経済観光文化局長 11月18日の時点では、審議中の国家戦略特区関連法案は廃案、先送りが確実視されるとともに、地方創生に向けた国の新たな動きが生ずるなど、特区をめぐる施策の推進状況は不透明な状況となっていた。消費税増税が先送りされる中、我が国全体の法人実効税率引き下げの議論への影響は大きいと見込まれ、本市が提案していた特区に係るスタートアップ関連税制の成否についても、今後の見通しが予測困難となっていた。こうした情勢の急変を受け、早期に情報収集に努め、速やかに要望活動等ができる態勢をとる必要があると判断したことから、やむを得ず出張を延期することとしたものである。 131 ◯中山委員 みっともない言いわけはやめたほうがいい。12月議会において、解散総選挙で、市長が福岡1区の1人の候補者だけを応援した理由について尋ねたところ、みずからの政治信条だと強弁された。衆議院が解散されたため、福岡1区の井上貴博候補の選挙応援を優先させたことが、訪米出張キャンセルの本当の理由ではないのか。 132 △経済観光文化局長 繰り返しになるが、出張の直前に急遽、衆議院の解散が表明されたことに伴い、先ほど述べたような事情もあり、早期に情報収集に努め、速やかに要望活動等ができる態勢をとる必要があると判断したことから、やむを得ず出張を延期することとしたものである。 133 ◯中山委員 総選挙本番での市長の動きを見ればはっきりしている。高島市長に関しては、釡山の夜問題に続き、アメリカ訪問のドタキャン劇について、福岡の市長は何しているんだということになっているのではないか。出張をキャンセルした後の市長のスケジュールを確認したが、選挙カーに乗って頑張る以外は、余りまともな仕事はしていない。キャンセルは、明らかに市長の私的な理由であって、キャンセル料を税金で賄うのは許されない。市長自身が負担すべきではないか。 134 △経済観光文化局長 特区関連の情報収集や活動については、平成26年11月25日、26日、12月4日、5日、11日に、内閣官房、その他必要な関係者に、市長及び関連職員で面談し、必要な情報収集や要望活動等を行っており、現在でも必要な状況であったと考えている。 135 ◯中山委員 出張を遊びにしか考えてないかのような市長の行動や、税金の無駄遣いに対しては、市民からの厳しい批判は免れない。市長の身勝手な姿勢は、与党会派との間にも亀裂を生んでいる。自民党市議団からの抗議文も無視している市長に多くの与党議員が怒っており、自民党市議団は、一斉地方選挙では市長に応援依頼しないことを決めたと聞き及んでいる。3月3日には朝日新聞が「市長vs自民市議団すきま風」と書き、毎日新聞は「市長と自民市議団、雪解け遠く」と書いている。麻生グループや安倍政権など、特定勢力との癒着で、市政に混乱とゆがみをもたらすことは許されないことを指摘して、市長の政治と金の問題に移る。市長の新年度報酬が、今年度当初より引き上げられるとのことだが、経緯とその内容について説明を求める。 136 △総務企画局長 市長の給与については、東日本大震災の復興財源に充てるために、給与減額を行った国家公務員の動きに合わせて、地方公務員についても削減要請があり、市長みずからが判断し、25年度から給与減額を行ったところである。26年度においても、特例条例を制定し、平成26年4月1日から、前任期の満了日である同年12月6日まで、引き続き減額していたが、現在は福岡市特別職職員等の給与に関する条例で定められた本来の額が支給されている。内容については、給料、地域手当及び期末手当等を、それぞれ20%減額していたものを、現在本来の額で支給している。給料は月額130万円を月額104万円に引き下げていたが、現在は月額130万円を支給している。 137 ◯中山委員 年間で213万円の引き上げである。12月議会で引き下げの手だてをとらず、こっそりもとに戻しており、訪米出張のキャンセル料が出せる額である。市民には財政難を理由に数々の痛みを押しつけ、自分の懐は温めており、厚かましいと思う。現在、国会では政治と金の問題で大変である。市長がつき従っている麻生太郎副総理兼財務大臣にも、安倍首相にも、政治資金規正法違反の疑いが出ている。市長の市政運営に当たっても、政治と金は重要な問題であり、閣僚たちのこれらの問題について、市長の所見を伺う。 138 △市長 政治資金規正法では、通常、会社その他の法人から政党や政党が指定した政治資金団体への寄附は認めているが、国から補助金等の交付決定通知を受けた場合、その決定通知から1年間を経過する日までの間、寄附は禁じられている。現在、国において審議されている、いわゆる政治と金の問題については、この寄附を禁じられた会社などからの寄附に関するものである。個別具体の内容については、それぞれの方が責任を持って説明責任を果たしているものと思っているが、総理大臣の答弁では、「企業、団体献金についてどうするかということは、各党、各会派において議論をしていただくべき問題である」とのことであり、まずは国における議論の推移を見守っていきたいと考えている。なお、そもそも私は政党に所属しておらず、政治資金規正法により会社などからの寄附そのものを受け取ることができないため、現在、国で議論されている問題には該当していない。 139 ◯中山委員 他人事の答弁であるが、市長自身はどうなのか尋ねていく。まず、政治資金報告書に記載されている市長の資金管理団体、アジアリーダー都市研究会の報告内容について、23年度から25年度までの3年間の政治資金パーティー等における事業の種類ごとの回数、収入総額及び全体総額について尋ねる。 140 △総務企画局長 市長の資金管理団体の収支報告書における政治資金パーティーについては、平成23年は、「九州・アジア未来塾」の開催が1回で収入額は147万円。「アジアのリーダー都市を目指して」の開催が1回で1,255万円。「福岡市の新ビジョンを語る」の開催が1回で1,241万円となっており、平成23年の収入合計は2,643万円である。平成24年は、「九州・アジア未来塾」の開催が3回で591万円、平成25年1月に開催した「市政報告会福岡未来設計図」の収入が1,287万5,000円となっており、平成24年の収入合計は1,878万5,000円である。平成25年は、「九州・アジア未来塾」の開催が3回で収入額は484万円、「市政報告会 福岡未来設計図」の開催が2回で2,427万円となっており、収入合計は2,911万円である。3年間の収入合計は7,432万5,000円である。 141 ◯中山委員 大規模な5回の政治資金パーティーによる6,210万5,000円の収入とは別に、7回開かれ総額1,222万円を集めた九州アジア・未来塾とはどういう集まりなのか。参加者は誰で人数はどのくらいなのか。また、1人1回当たりの会費、つまり政治資金としては幾ら納めてもらうものなのか、市長に尋ねる。 142 △市長 九州・アジア未来塾については、政治資金規正法第8条の2に基づく、私の資金管理団体が開催する政治資金パーティーである。私の政治活動を支援するため、おおむね四半期に1度、地元企業を中心に幅広い分野から数十名が集まり、勉強会や懇親会を催している。その対価として、会費を徴収し、開催に必要な経費を差し引いた残額について、私の政治活動のために支出している。 143 ◯中山委員 参加者の1回当たりの会費は3万円ぐらいという情報があるが、そういうことなのか。 144 △市長 政治資金規正法に基づき、適正な手続を行い、必要な届け出及び公表は行われている。 145 ◯中山委員 九州・アジア未来塾の参加者について、(株)麻生の幹部はいるのか。参加しているならば、役職もあわせて尋ねる。 146 △市長 九州・アジア未来塾に参加している具体的な企業名については、政治資金規正法でも公表の義務はなく、答弁は差し控える。 147 ◯中山委員 (株)麻生は、市長の公約違反で大問題となったこども病院の人工島移転で、PFI事業に医療アドバイザーとして参入している企業である。契約期間は平成23年10月31日から同42年の11月30日までであり、九州・アジア未来塾の開催期間と重なる。第1給食センターのPFI事業にも加わっており、(株)麻生の社長は参加しているとの情報を得ている。(株)九電工についてはどうか。 148 △市長 九州・アジア未来塾に参加している具体的な企業名については、企業や個人の情報であり、この場での答弁は差し控える。 149 ◯中山委員 否定はされない。(株)九電工も新こども病院のPFIを初め、23~25年度の間には、ほかにも市の発注を受けている。(株)福住についてはどうか。 150 △市長 九州・アジア未来塾に参加している具体的な企業名については、政治資金規正法でも公表の義務はなく、答弁は差し控える。 151 ◯中山委員 (株)福住も参加していることを確認している。(株)福住は、中央保育園のラブホテル街への移転で大きく揺れた問題で、その土地を本市に転売して、1億3,000万円余の利益を得た不動産会社である。売買は平成25年4月19日で、九州・アジア未来塾が開かれていた期間である。(株)BBDO J WESTという企業はどうか。 152 △市長 九州・アジア未来塾に参加している具体的な企業名については、政治資金規正法でも公表の義務はなく、答弁は差し控える。 153 ◯中山委員 (株)BBDO J WESTは物議を醸し出した、カワイイ区事業の受注企業である。期間は平成25年7月16日から同27年3月31日までであり、契約金額は総額で2,273万円余となっている。これらのほかにも、本市からの受注企業関係者が相当数参加しているようである。税金で本市が仕事を発注した企業の幹部から、市長の政治資金を出してもらうことは問題であるが、その認識はあるか。 154 △市長 政治資金規正法に基づき、適正な手続を行い、必要な届け出及び公表は行われている。 155 ◯中山委員 市民の納めた税金が、市長の政治資金として還流しているのであり、重大な問題である。政治資金規正法において、公職の候補者に係る企業からの寄附の質的制限や政治資金についてどう定められているか。 156 △総務企画局長 政治資金規正法第22条の3第4項には、「第1項及び第2項の規定は、次の各号に掲げる会社その他の法人が、当該各号の地方公共団体の議会の議員もしくは長に係る公職の候補者、これらの者に係る資金管理団体またはこれらのものを推薦し、支持し、もしくはこれに反対する政治団体に対してする政治活動に関する寄附について準用する。第1号、地方公共団体から補助金、負担金、利子補給金その他の給付金の交付の決定を受けた会社その他の法人。第2号、地方公共団体から資本金、基本金その他これらに準ずるものの全部または一部の出資または拠出を受けている会社その他の法人」と規定されている。第5項には、「何人も、第1項または第2項(これらの規定を前項において準用する場合を含む。)の規定の適用を受ける者であることを知りながら、その者に対して、政治活動に関する寄附をすることを勧誘し、または要求してはならない」と規定されている。 157 ◯中山委員 その次には、「何人も、第1項または第2項の規定に違反してされる寄附であることを知りながら、これを受けてはならない」と定められている。法律で文言としては明確に禁止されていないものでも、本市の受注企業からの献金となれば、その原資は税金で補助金と同質のものであり、政治的、道義的に極めて問題である。市長の政治倫理条例第3条第1項にはどう書かれているか。 158 △総務企画局長 同条例第3条第1項には、「市長は、次の各号に掲げる政治倫理基準を遵守しなければならない。第1号、政治不信を招くことのないよう、品位と名誉を損なう行為を慎み、その権限または地位のもたらす影響力を私的な目的のために行使しないこと。第2号、その地位または権限を利用して金品を授受しないこと。第3号、市民全体の利益の実現のために全力を尽くすことを基本とし、特定の者の利益を実現するために、職務執行上の有利な取り計らいをしないこと。第4号、政治活動に関し、道義的に批判を受けるおそれのある趣旨の寄附を受領しないものとし、その資金管理団体についても、当該寄附を受領させないこと」と規定されている。 159 ◯中山委員 本市の受注企業からの献金は明らかに税金の還流であり、金の力で政治をゆがめるものであり許されない。市長が、政治資金パーティーという名目で資金提供を受けるものについては、形は個人であっても、企業の肩書まで明らかにして参加しているのであれば、実質は企業献金そのものである。その実態を市民の前に明らかにすべきだと思うが、どうか。 160 △市長 九州・アジア未来塾は、政治資金規正法に基づく政治資金パーティーであり、勉強会や懇親会へ参加する対価として会費をいただいているものであり、寄附、すなわち政治献金ではない。 161 ◯中山委員 政治献金ではないとのことだが、市長は政治資金報告書の趣旨を理解してない。政治資金規正法は、政治家が金によって政治をゆがめないよう、報告書も透明性を確保し、国民が納得するよう、金の出入りは明らかにするという趣旨である。また、市長の政治倫理条例に触れる態度も許されないと思う。プレシャスインベストメントという株式会社から、2人が参加しているという情報があるが、どうか。 162 △市長 九州・アジア未来塾に参加している具体的な企業名については、答弁できない。 163 ◯中山委員 知らない、答えないは通らない。市長はアジアリーダー都市研究会の届け出責任者であり、参加者について答えられないというのは済まされない。2人からは幾らの資金提供があったのか。 164 △市長 政治資金規正法に基づき、適正な手続を行い、必要な届け出及び公表は全て行われている。 165 ◯中山委員 とぼけるが否定もできない。プレシャスインベストメントは、どんな会社で、どこにあるかぐらいも言えないのか。 166 △市長 個別具体的な企業名は答弁できない。 167 ◯中山委員 市民の前に公表できない会社を、みずからのパーティーに参加させて資金提供を受けたということか。 168 △市長 九州・アジア未来塾に参加している具体的な企業名については、政治資金規正法でも公表の義務はなく、答弁は差し控える。 169 ◯中山委員 公表の義務があるとは言っていない。市長が明らかにする姿勢があるかどうかということである。商業謄本をとって調べてみた。この会社は、住所が六本木ヒルズになっているが、電話をかけても出ないため、実態が確認できない。九州・アジア未来塾のほかの参加者も、この2人は誰のつながりで参加していたのかわからないそうである。また、昨年3月21日の毎日新聞には、「出資法違反、金融商品取引会社従業員に有罪判決。東京都港区の金融取引会社プレシャスインベストメントが、元本を保証するなどして違法に金を集めた事件で、出資法違反の罪に問われた被告に対し、熊本地裁の裁判官は20日、懲役1年6月、執行猶予4年を言い渡した」とある。この企業とすれば、市長は詐欺まがいの罪を犯したとされる企業の関係者から、資金提供を受けたということであるが、所見を伺う。 170 △市長 九州・アジア未来塾に参加している企業の中に、お尋ねのような企業があるかどうか、把握していない。 171 ◯中山委員 知らぬ存ぜぬは通らない。有罪判決を受けた企業関係者から資金提供を受けたならば、市長はそのお金で選挙を戦ったということであり、道義的に到底許されない。みずからこの企業との関係について明らかにすべきではないか。 172 △市長 九州・アジア未来塾に参加している具体的な企業名については、政治資金規正法でも公表の義務はなく、答弁は差し控える。 173 ◯中山委員 汚れた資金提供を受けた疑惑は拭えない。市長の政治倫理条例第3条第2項には、違反する事実があるとの疑惑を持たれたときは、みずから誠実な態度をもって疑惑の解明に当たると規定されている。プレシャスインベストメントと市長自身の関係、金の流れ、市長の責任について、市民に説明する義務があるが、答弁を求める。 174 △市長 政治家が活動するための政治資金については、税金から賄われる政党交付金を除けば、大きく分けて、寄附、いわゆる政治献金による収入と、政治資金パーティーなどによる収入の2つがある。政治資金規正法における寄附とは、金銭、物品、その他の財産上の利益の供与または交付で、政党または会費その他債務の履行としてされるもの以外のものと規定されている。政治資金パーティーである九州・アジア未来塾の会費については、勉強会や懇親会へ参加する債務の履行、すなわち対価として支払われるものであり、政治活動に関する寄附ではないため、地元企業を中心とした幅広い分野の皆様に参加いただいているが、政治資金規正法の趣旨から問題ないものである。 175 ◯中山委員 こういう姿勢は許されない。今後問題になり、市長たる資格が問われることを指摘しておく。九州・アジア未来塾には、JTBコミュニケーションズ九州代表取締役社長が参加しているようだが、どうか。 176 △市長 九州・アジア未来塾に参加している具体的な企業名については、公表を差し控える。 177 ◯中山委員 この企業の社長が参加しているという確かな情報がある。この企業は、25~26年度に経済観光文化局のプロモーション関連など10事業の委託を受け、金額は合計で約2,400万円余に上っている。社長は市総合計画審議会委員も務めていると思うが、どうか。 178 △総務企画局長 福岡市総合計画の策定に当たっては、多様な市民意見や専門的知見を反映させることが必要であり、豊富なビジネス経験を有する方からの意見は、本市の経済活性化、雇用創出に向けた取り組みを初め、市政全般にとって有益なものであることから、福岡市総合計画審議会規則に基づき、学識経験を有する者として、同審議会委員に就任している。 179 ◯中山委員 公平性を保つべき審議会委員を市の受注企業の社長に任せ、さらに、その企業の社長から市長が政治資金の提供を受けるというのは二重の問題ではないか。 180 △総務企画局長 繰り返しになるが、福岡市総合計画の策定に当たっては、多様な市民意見や専門的知識を反映させることが必要であり、豊富なビジネス経験を有する方からの意見は、本市の経済活性化、雇用創出に向けた取り組みを初め、市政全般にとって有益なものであることから、福岡市総合計画審議会規則に基づき、学識経験を有する者として、企業関係者も福岡市総合計画審議会委員に就任している。委員自身も審議会の委員として審議に参加しており、承知のことかと思うが、総合計画審議会では、企業関係者を含め、学識経験者、関係団体、関係行政機関、市議会議員など48名の委員によって議論がなされ、その様子は全てインターネットで動画配信されるなど、広く市民に公開されている。さらに、審議会が策定した計画原案については、各区での説明会を行った上でパブリックコメントを実施し、さらなる市民意見の反映を図るなど、完全にオープンな環境のもと、公正な計画づくりが行われたと認識しており、指摘は全く当たらないものと考えている。 181 ◯中山委員 私が審議会で市長提案に異論を述べたとき、この委員は市長が推進する方向の立場で発言し、私が反論しようと思ったら、逃げるように出ていった。これは許されないと思う。ほかの審議会にも、市の受注企業関係者がいる。審議会の委員について、受注企業関係者は解任するとともに、不適切な選任方法は改めるべきではないか。 182 △総務企画局長 繰り返しになるが、福岡市総合計画審議会では、企業関係者を含む、学識経験者、関係団体、関係行政機関、市会議員など48名の委員によって議論がなされ、その様子は全てインターネットで動画配信されるなど、完全にオープンな環境のもと、公正な計画づくりが行われていたものと認識している。また、本市が業務を受注するに当たっては、契約事務規則など関係規定に基づき、公正、公平に業者選定を行っており、業務の受注者が審議会の委員に就任することは問題ないと考えている。 183 ◯中山委員 開き直られたが、そういう姿勢で進めたら大変なことになる。企業名を挙げた企業が、市の受注をどんどん受けて、本当に公平な選考がされているのか、極めて疑問である。高島市長のもとで公正な行政運営の基本が崩れている。プレシャスインベストメントは、代表者がどこにいるかわからないそうであり、大変な疑惑がある。こういう会社の関係者が、確実に市長の政治資金パーティーに参加していたということであり、3万円の会費を2人で1回ずつ出たとしても少なくとも6万円は払っている。市長の疑惑まみれの政治資金問題、財界との関係、これまでも指摘してきた麻生太郎副総理と麻生グループなどとの癒着、これらが大きく市政をゆがめている。さらに、財界と安倍政権につき従い、市民の暮らしを犠牲にする大型開発と雇用壊しの特区へと突き進んでいる。市長たる者、このような政治姿勢は許されず、改めるとともに、市長自身の政治資金パーティーに関する一連の疑惑と問題を、市民の前に明らかにすべきではないのか。 184 △市長 九州・アジア未来塾は政治団体ではないため、その会費については、政治資金規正法第5条第2項に規定する寄附ではない。私の政治資金管理団体が開催している九州・アジア未来塾については、政治資金規正法に基づく適正な政治資金パーティーであり、この収入は同法で禁止されている企業、団体献金とは全く異なるものである。九州・アジア未来塾の会費については、勉強会や懇親会へ参加する債務の履行、すなわち対価として支払われるものであり、政治活動に関する寄附ではないため、地元企業を中心とした幅広い分野の皆様に参加いただいているが、問題はない。また、九州・アジア未来塾に参加している企業が、本市からの発注や補助金などを受けているかどうか、私は承知していないし、本市の業務に関する業者選定については、担当部局において、関係法令などにのっとり適切な手法を選択し、公平公正に相手方を決定している。このようなことから、市長の政治倫理に関する条例に違反するような事実は全くない。 185 ◯飯盛委員 商店街の振興について、南区のまちづくりについて、自動車専用道路アイランドシティ線について、グローバル創業・雇用創出特区について、以上の4項目について質問していく。まず、商店街の振興について尋ねる。商店街は地域の中で生き残っていくため、地域や消費者のニーズや要望に応えようと日々活動している。商店街をタイプ別に分類すると、広域型、地域型、近隣型に、おおむね分けられる。近隣型や地域型の商店街が、全国で見ると、全体の約8割を占めていると言われ、25年度に市が行った商店街実態調査でも同様の結果が出ている。商店街が地域において果たす役割や機能の重要性を十分に理解し、地域の要望や期待に応える商店街を、行政がしっかりと支援することが重要であると考えており、実態調査の結果をしっかりと分析し、商店街にとって何が必要であるかを洗い出すことが重要であると要望してきた。にぎわいのある商店街を維持するため、国を初めさまざまな機関が商店街に対する支援施策を考え準備しているが、なかなかその成果はあらわれていないため、もう一度原点に立ち返り、商店街の現場から行政まで、広い視野で商店街の振興を考え直すときではないかと思っている。そこでまず、これまで商店街を振興するためにどのような方針で、どのような支援を行ってきたのかを尋ねる。 186 △経済観光文化局長 これまでの商店街の振興については、商店街が抱える課題やニーズに対応して、随時、事業の見直しを行っている。昭和24年度に商店街の経営基盤の強化を図るため、中小企業施策の一環として、融資のあっせんを開始し、昭和48年度には商店街の費用負担が高額となるアーケードやカラー舗装など、環境整備に伴うハード事業への支援を開始している。また、元年度からは商店街のにぎわいづくりに向け、お祭りやイベントなどのソフト事業への支援を開始、16年度には増加する商店街の空き店舗対策への支援を開始している。さらに、24年度以降は、商店街の中に集客の核となるような魅力ある店舗をつくり出す取り組みへの支援などを、新たに開始している。 187 ◯飯盛委員 26年度に新たに取り組んだ事業の内容とこれまでの実績を尋ねる。 188 △経済観光文化局長 26年度の新たな事業としては、商店街の空き店舗情報の発信を行う「あ・きてん福岡」事業がある。これは福岡県宅建協会及び福岡商工会議所と連携して実施しているものであり、こうした関係業界と連携した取り組みは政令市初である。宅建協会が管理、保有する不動産情報サイト「ふれんず」の中に「あ・きてん福岡」の名称で新たなサイトを開設し、商店街ごとに商店街及びその周辺の空き店舗物件の情報をリアルタイムで更新、発信するとともに、それぞれの商店街の情報や、福岡市及び商工会議所の支援施策などの情報を一元的に提供することで、商店街の出店を促進し、空き店舗の解消につなげるものである。「あ・きてん福岡」は市内のほぼ全ての商店街をカバーしており、その実績として、平成26年9月の開設以来、月平均で約2万件のアクセスがあり、このサイト内に掲載された物件の成約件数は、月平均約70件と、開設前を大きく上回っている。 189 ◯飯盛委員 商店街においては、情報発信ツールを持っていないところもまだまだ多いと感じており、引き続き、「あ・きてん福岡」等を活用した商店街の広報支援について要望しておく。次に、商店街実態調査の結果から、商店街の状況、商店街の抱える問題、把握できた特徴を尋ねる。 190 △経済観光文化局長 25年度に本市が実施した商店街実態調査結果に見られる商店街の状況については、前回調査時の21年度に比べ、景況感は全体として改善傾向が見られるものの、1商店街当たりの平均空き店舗数は、21年度から0.2店舗増加して3.4店舗となっており、商店街の会員や役員の平均年齢も50歳代から60歳代が7割を超えているなど、商店街の実態は依然として厳しい状況に置かれていると考えている。商店街が抱える問題については、店主の高齢化や組合員の減少を背景として、商店街の担い手が不足、次世代を担う若手がいないといった人材育成・確保の問題、消費者ニーズの変化などに起因して、商店街に集客の核ともなる魅力的な店舗がない、鮮魚店、青果店といった日常生活に密着した店舗がなくなった商店街があるなど、構成店舗の問題などが見られる。実態調査から見られる特徴的な傾向については、地域活動やイベントに取り組む商店街の割合が21年度に比較して増加し、その多くがイベントによる集客やにぎわいの効果を実感している。また、地域活動に熱心に取り組んでいる商店街は、そうでない商店街に比べると、景況感がやや明るいといった傾向が見られる。 191 ◯飯盛委員 商店街実態調査の結果については、専門家などを含めた、必要な施策の検討などを行っているのか。また、今後どのような方向性で商店街支援に取り組もうと考えているのか。 192 △経済観光文化局長 商店街実態調査の結果については、平成26年4月に設置した中小企業診断士、学識経験者などの専門家や商店街関係者などで構成する福岡市商店街支援施策検討委員会において、追加のヒアリング調査なども行いながら、分析及び検討を行っている。また、8月には同委員会から商店街支援施策の今後の方向性として、これまでも行ってきた商店街の集客力や販売力の向上に向けた支援のさらなる強化に加え、新たに商店街の舞台として、地域が抱える課題解決に向けた取り組みを促進する地域との共働や将来の商店街活動を担う若者の参入促進、外部の人材、団体との連携促進など、商店街を支える多様な人材の確保といった提言を受けている。本市においては、この提言を踏まえ、9月に策定した中小企業・小規模事業者振興推進プランの中に、商店街と地域との共働に向けた取り組みや魅力ある集客の核となる店舗創出の支援、商店街を支える人材確保、育成に向けた支援の強化を、施策の方向性として盛り込んでいる。今後は、この振興推進プランに基づき、商店街の活性化に向けた支援に取り組んでいきたいと考えている。 193 ◯飯盛委員 27年度の商店街振興に係る事業の当初予算額を尋ねる。また、検討内容はどのように反映されているのか。 194 △経済観光文化局長 商店街振興に係る事業の27年度当初予算額は3,849万円余であり、26年度と比べ、24.6%の増となっている。また、27年度当初予算案では、新たに商店街と地域団体との連携促進に向けた仕組みづくりなどを行う商店街と地域との連携による魅力向上事業、商店街をともに活性化させるパートナーの発掘を支援する商店街活性化パートナー発掘事業、商店街の空き店舗での若者の創業などを支援する空き店舗における創業応援事業を実施することとしており、検討内容を反映している。 195 ◯飯盛委員 商店街と地域との連携による魅力向上事業の内容を尋ねる。 196 △経済観光文化局長 商店街は地域コミュニティの重要な担い手であるとの認識のもと、地域資源である商店街と自治協議会を初めとする地域団体とが連携して、地域や地域住民が抱える課題解決に当たることによって、商店街がより必要とされる存在となるなど、その魅力の向上を図り、ひいては商店街の活性化と売り上げ向上につなげようとするものである。27年度は、商店街と地域団体との情報交換、意見交換を行う場を設け、商店街と地域が、それぞれの抱える課題や現状を把握し、お互いの顔が見える関係を築いていくなどの取り組みをモデル的に実施していきたいと考えている。 197 ◯飯盛委員 地域との連携については、市役所全体が同じ方向で商店街支援を行うことが大切である。そのかじ取り役は、経済観光文化局であるとしても、実際に地域を担当する各区役所の役割や協力が非常に重要であると考えるが、どのように考え、取り組もうとしているのか。 198 △経済観光文化局長 委員御指摘のとおり、商店街と地域との連携を促進する上で、区役所を初め市民局や関係部署との協力は非常に重要であると考えている。このため27年度には、区役所を初め関係部署で構成する庁内の横断的な体制の構築を図るとともに、新たに地域連携担当主査を配置し、関係部署と連携しながら、商店街と地域との連携促進の取り組みを進めていきたいと考えている。 199 ◯飯盛委員 商店街と地域との連携の方向性については理解できるが、例えば、商店街を会員数で見ると、5名程度の商店街もあれば、100名を超える商店街もあるなど、その規模もさまざまである。地域とのかかわりが深い近隣型の商店街を見ると、会員数19名以下の商店街が約5割を占めており、商圏が広い広域型になると、会員数も多くなるという結果が出ている。こうした中、現在の商店街支援施策は、さまざまな規模の商店街があるにもかかわらず、一律的な支援を行っているように感じるが、施策の見直しを図っているのか。 200 △経済観光文化局長 商店街には、会員数や資金力、立地環境など、さまざまな規模、状況のものがあり、必要とされる施策も差異があると考えている。現在の商店街支援政策は、基本的にはさまざまな規模、状況の商店街が、それぞれの抱える課題や問題に応じた取り組みに柔軟に活用できる制度内容としているが、広域型、近隣型、地域型など、ある程度商店街の規模や状況を想定しているものもある。27年度の新規施策である商店街と地域との連携による魅力向上事業や商店街活性化パートナー発掘事業については、比較的商圏が小さい、地域型の商店街などを想定しており、空き店舗における創業応援事業については、商店街活動を担う人材の不足や商店街を構成する店舗の業種の減少など、商店街の抱える課題や問題に応じて柔軟に活用できるものと考えている。委員の指摘を踏まえ、商店街それぞれの規模、状況の違いを十分に考慮しながら、商店街の抱える課題やニーズに対応した効果的なものとなるよう、適宜施策の見直しを行っていきたいと考えている。 201 ◯飯盛委員 市の財政状況が厳しい中、全般的な支援を行ってもだめだと思う。規模の違いだけでなく、会員数が同じでも、積極的に活性化に取り組もうとする商店街と、そうでない商店街では大きな違いがある。こうした違いをきちんと捉え支援内容を区別し、本当にやる気のある商店街への支援を重点的に行うことで、地域の中で生き生きと活動する本当の意味での商店街となっていく。そうすることで、他の商店街へ刺激を与え、意識啓発を図り、全体の商店街活性化につながると考えるが、所感を尋ねる。 202 △経済観光文化局長 商店街の振興において、意欲の高い商店街に重点的に支援を行い、これを刺激として、他の商店街の啓発を図り、全体の商店街の活性化につなげていくべきとの意見は、大変重要な指摘であると考えている。これまでも、それぞれの商店街が置かれている状況などに応じて、積極的かつ計画的に事業に取り組もうとしている商店街に対して、重点的に支援を行ってきたが、27年度から新たに実施する施策の制度設計時にはもちろん、従来の施策の運用に当たっても、商店街の意欲や積極性を重視するとともに、これらを引き出す仕組みづくりなどにも取り組んでいく。また、こうした商店街の取り組み例や成功例について、他の商店街にも紹介し、情報を共有することで、その啓発や活性化にもつなげていきたいと考えている。 203 ◯飯盛委員 本市では、福岡市が次のステージに進んでいくためのチャレンジを「FUKUOKA NEXT」と総称し、さまざまな事業を実施していく方針が打ち出されているが、本市にとって大変重要な役割を担う商店街の振興における次のステージとはどういったものか、市長の考えを伺う。 204 △市長 本市が、都市の成長と生活の質の向上の好循環を確かなものとし、次のステージへと大きく飛躍していくためには、未来に向けた都市の成長の種をしっかりと育てるとともに、さまざまな制度や事業を持続可能な新しい仕組みにつくり変えていくことが必要である。委員御指摘のとおり、商店街の振興においても、その規模や環境に応じた効果的な支援の取り組みが不可欠であると考えている。市内中心部にある広域型の商店街においては、都市基盤の充実や観光資源の磨き上げ、MICE拠点の形成などによってもたらされる都市の活力を、集客力や販売力の拡大に結びつけていくことが重要である。また、地域住民が日常的に利用する近隣型や地域型の商店街においては、検討委員会からの意見も踏まえ、地域コミュニティにおけるさまざまな支え合いやつながり、交流や対話の中で商店街を舞台に、少子高齢化や防犯対策などの課題に、地域と一緒に取り組むことで、商店街の活性化につなげていきたいと考えている。商店街の新たなステージに向けて、やる気のある商店街をしっかりと支え、存在感のある元気な商店街づくりに取り組んでいく。
    205 ◯飯盛委員 次に、南区のまちづくりについて尋ねる。この問題は、これまでの議会において、我が会派の南区選出議員から指摘をしてきたところであり、特に、南区西南部においては、他の地域よりも速いスピードで進む高齢化問題や道路交通問題、市民サービス機能の配置問題など、解決すべき課題にしっかりと向き合っていかなければならない。道路交通問題については、これまでの取り組みにより、南区における道路整備で一定程度改善されているのであろうが、地域住民には、なかなかその実感が湧かないのが実態ではないか。そこで、26年度と27年度の南区における道路整備に関する予算額を尋ねる。 206 △道路下水道局長 26年度が17億9,105万円余、27年度が16億6,912万円余となっている。 207 ◯飯盛委員 総会質疑などでの答弁によると、都市計画道路の整備率は、全市と比較して南区のほうが比較的高いものの、人口1人当たりの道路面積は、全市平均と比較して南区のほうが小さいという結果が出ており、改善の必要があると考えている。そこで、南区の道路交通の円滑化に向けて、どのような取り組みを行っていくのか。 208 △道路下水道局長 交通の分散化を目的とした道路ネットワークの形成を図るため、都市計画道路屋形原須玖線などの整備を進めている。また、交通渋滞の緩和を図るため、屋形原1丁目交差点などにおける右折レーンの設置や、自動車免許試験場前などにおけるバス停カットの整備に取り組んでいる。引き続き、渋滞箇所における交通の円滑化や公共交通の定時性確保に向けた道路整備について検討を進めるとともに、今後、都市計画道路老司片江線のやよい坂工区や、野間屋形原線の花畑工区の整備に着手していく。 209 ◯飯盛委員 次に、高齢者を支える地域づくりの視点から質問していく。本市においても、今後急速に高齢化が進むことが予測され、その対応は喫緊の課題となっている。本市にはコミュニティの基礎単位となっている小学校区が143カ所あるが、人口規模や年齢構成、住宅の状況などにより、今後の高齢化の進展状況や、それに伴う問題は大きく異なってくると考えられる。南区においても、西鉄天神大牟田線沿線に比べ、西南部地域の高齢化率が高くなっており、全市一律の施策ではなく、それぞれの地域の実情を踏まえた対応を行っていくことが重要である。そこで、地域の高齢者の身近な相談窓口となっている、いきいきセンターふくおかについて、高齢者が多い地域にはきめ細やかな対応が必要であると考えるが、今後どのように対応するのか。 210 △保健福祉局長 いきいきセンターふくおかについては、交通の利便性や地域のつながりに配慮しつつ、これまでは1圏域当たりの高齢者人口がおおむね6,000人となるように設置してきた。27年度からは、中学校区単位での設置を基本としつつ、高齢者人口3,000人から6,000人を目安に、圏域を見直し、現在の39カ所から57カ所に増設するとともに、土曜日も開設し、これまで以上に身近な場所で、きめ細かに相談に対応していく。 211 ◯飯盛委員 いきいきセンターふくおかを、おおむね中学校区の範囲に1カ所ずつの配置となる57カ所へ増設することは、高齢者やその家族の生活の安心につながることで、大変いいことであるが、地域にとっては、中学校区よりも小学校区程度の範囲のほうが、生活の場としてイメージしやすく、例えば、公民館などに相談できる場所ができると、さらに相談に行きやすくなると思う。いきいきセンターふくおかの増設とあわせて、公民館などとも連携して、高齢者がさらに身近な場所において相談できるような体制を検討していくことが必要であると考えるが、所見を伺う。 212 △保健福祉局長 27年度においては、まず、増設するセンターを含め57カ所のセンターが、総合相談窓口として機能を果たせるよう、体制をしっかり整えていく。また、今回の増設にあわせて、一部のセンターに介護予防に専任する職員をモデル的に配置することとしており、これまで以上に積極的に地域に出向き、公民館等とも連携しながら、介護予防の普及啓発や高齢者のニーズの把握を進めるなど、必要な支援を行っていく。 213 ◯飯盛委員 次に、南区における拠点施設整備について尋ねていく。南区は、西鉄天神大牟田線の沿線に区役所や市民センター、体育館などの行政サービス機能が集中しており、区の西南部との比較において、サービス格差が生じていることから、市民サービスの公平性を確保する必要性について、過去の議会質疑においても指摘してきている。今回、27年度当初予算に、南区における拠点施設の整備に関する検討経費が計上されたが、具体的にどのようなことを行うのか。 214 △総務企画局長 南区における拠点施設整備の検討については、市民サービスの拠点機能の必要性について確認し、その内容、機能等について検討するため、行政だけでなく、民間を含めたサービスの配置状況、交通や住宅の状況、校区ごとの人口動向や将来の見通しなどの地域特性の調査、分析を行うこととしている。 215 ◯飯盛委員 南区の活性化のためには、施設整備を初め高齢化対策、道路整備、公共交通の利便性向上など、さまざまな取り組みが必要であるが、今後の南区のまちづくりに向けた市長の所見を伺う。 216 △市長 南区には高齢化や道路交通問題、市民サービス機能の配置などの課題があることは十分に認識している。今後とも、第9次基本計画のまちづくりの方向性に沿って、南区全体が活気あふれる「くらしのまち」となることを目指して、道路交通網の強化や公共交通の利便性の向上、高齢者の相談体制の充実、拠点施設の検討を進めるなど、地域によって市民生活に不可欠なサービスに大きな差が生じないよう取り組み、地域の皆さんが住んでいるまちに誇りと愛着を持ち、住んでよかった、住み続けたいと思ってもらえるように、地域の資源や魅力を生かしたまちづくりをしっかりと進めていく。 217 ◯飯盛委員 次に、自動車専用道路アイランドシティ線について尋ねていく。アイランドシティにおいては、こども病院が昨年11月に開院し、青果市場も27年度には開場する予定と聞いており、港湾物流施設も着実に整備が進んでいる。これだけ広域的な施設が集積していくアイランドシティにとって、都市高速道路の延伸は、都市圏はもとより、九州、西日本をつなぐ重要な都市基盤であるが、都市高速道路をアイランドシティまで延伸する自動車専用道路アイランドシティ線について、現在の進捗状況と完成までにどれくらいかかるのか。 218 △道路下水道局長 自動車専用道路アイランドシティ線の進捗状況については、現在、有料道路事業、街路事業、港湾整備事業の事業範囲及び費用負担などについて調整を進めるとともに、福岡北九州高速道路公社の基本計画の変更について、設立団体や関係機関と協議、調整を進めてきている。工事着手から完成まで、おおむね5年程度の期間を要するものと想定している。 219 ◯飯盛委員 福岡都市高速は九州自動車道と直結し、5号線も完成し環状化したことや、アイランドシティへ延伸することで、かなり使いやすくなると考えており、自動車専用道路アイランドシティ線の1日も早い完成に向けて取り組んでいただきたい。南区の交通問題については、これまで何度も質問してきたが、交通の面から考えると、福岡都市高速は、南区の住民にとっても便利になってきているものの、南区から車で福岡空港の国内線ターミナルに向かう場合、西月隈か半道橋で都市高速をおりて渋滞箇所を通るしかなく、もっと便利にならないかという声もあり、都心から都市高速で空港まで行く際も、空港通り出口の先にある国道3号線バイパスとの交差点で渋滞に巻き込まれてしまう。平成23年当初議会において、我が会派からの代表質問で、福岡空港の国内線ターミナルへのアクセス改善を図るため、都市高速道路の延伸について尋ねたところ、市長から、国や県などの関係機関とともに調査、研究していくとの答弁を受けており、空港アクセスの改善に向け、具体的な調査に取り組んでほしいが、最優先に取り組むべき課題である都市高速道路のアイランドシティへの延伸に向けた決意と、空港アクセスの改善に向けた取り組みについて、市長の所見を伺う。 220 △市長 アイランドシティについては、第9次福岡市基本計画において、活力創造拠点に位置づけ、本市の成長を牽引するエンジンともなるよう、先進的モデル都市として、魅力あるまちづくりや産業集積に全市を挙げて取り組んでおり、博多港最大級の物流施設が操業を開始し、平成26年11月のこども病院開院や、27年度には新青果市場の開場も予定されるなど、着実に整備が進んでいる。委員御指摘の自動車専用道路アイランドシティ線については、1日も早い事業化に向け、しっかりと取り組んでいく。また、福岡空港の国内線ターミナルへのアクセスについては、南区方面からのアクセスなども改善すべきであると認識しており、前向きに取り組んでいく。 221 ◯飯盛委員 最後に、グローバル創業・雇用創出特区について尋ねていく。本市は、昨年5月にグローバル創業・雇用創出特区として、国家戦略特区の指定を受け、規制緩和などさまざまな取り組みにより、福岡の発展のみならず、日本全体の成長を牽引することが期待されている。本市の成長を推進するエンジンとしての期待が大きい国家戦略特区であるが、これまでの取り組みや、今後、本市がどのようなまちへと変わっていくのか、市民になかなか伝わっていないのではないかという気がしている。本市が国家戦略特区に選ばれて、間もなく1年を迎えようとしているが、特区を活用した規制改革等の実績についてはどうなっているのか。 222 △総務企画局長 本市の国家戦略特区、グローバル創業・雇用創出特区については、これまでに2回の区域会議を開催し、昨年9月には全国に先駆けて区域計画が認定されている。この区域計画に基づき、11月以降、エリアマネジメントに係る道路法の特例を活用したイベントが開催されるとともに、雇用労働相談センターが設置され、具体的な事業がスタートしている。同じく11月には、航空法の高さ制限の特例承認の第1弾として、天神明治通り地区17ヘクタールについて、現行の高さ制限を超えて承認される高さの目安が示されている。 223 ◯飯盛委員 道路法の特例については、これまでにも道路を活用したイベントはあったと思うが、特区の取り組みはこれまでの社会実験とどこが違うのか。また、どのような事業が実施され、その効果についてどう考えているのか。 224 △経済観光文化局長 道路を活用したイベントについては、これまでも社会実験として、例外的に実施した例があるが、この場合は、社会実験としての正当性や必要性などを踏まえ、個別案件ごとに認められてきたものである。このたび認められた道路法の特例については、区域計画に基づき、MICEの推進等を目的とする場合で、国の認定を受けた地域団体等が指定された道路で実施するときには、道路の敷地外に用地がない場合に限って認められるという、いわゆる無用地性の要件が除外されることとなったもので、これによりイベントの継続的、反復的な開催が可能となるとともに、MICE誘致の際にも、本市の開催のメリットの一つとして、事前に告知ができるようになったものである。また、道路法の特例を活用した事業については、昨年11月、きらめき通り、新天町メルヘン広場、博多駅前通りの三つの路線で道路を占用したイベント、通称ストリートパーティーを実施している。このうち、きらめき通りでは3日間開催し、約13万人の来場者でにぎわい、その経済効果については約14億円と試算しており、その際に日本臨床検査医学会の懇親会を通りで開催し、「福岡でしか取り組めない内容に大変満足した」との意見をいただいている。今後もストリートパーティーの開催によって、MICEの魅力向上と誘致促進に取り組んでいく。 225 ◯飯盛委員 雇用労働相談センターの概要と、国や県の既存の相談窓口とどのような違いがあるのか。また、その状況と効果についてどのように考えているのか。 226 △経済観光文化局長 雇用労働相談センターについては、国家戦略特別区域法第37条に基づき国が設置したもので、雇用指針等を活用して、高度な個別相談対応等を行い、創業間もない企業等が我が国の雇用ルールを的確に理解し、予見可能性を高めることにより、個別労働関係紛争を未然に防止しようとするものである。これに対し、厚生労働省福岡労働局の総合労働相談コーナーや県の各労働者支援事務所などの既存の労働相談窓口は、主に紛争発生後に、その解決に向けた業務が行われている。雇用労働相談センターは、開設から2カ月余りで145件の相談を受けており、創業企業等のほか、多数の労働者や求職者にも利用されている。また、相談者を対象としたアンケートでは、9割を超える利用者から、参考になった、また利用したいとの回答があり、創業準備に向け、雇用に係る疑問について何度も相談されている起業準備中の人や、長い間悩んでいたことに、とてもよい助言を受けたと感謝を寄せられた労働者もいると聞いている。雇用労働相談センターは、開設から短期間ではあるが、労使双方にとって十分な効果が出てきていると考えている。 227 ◯飯盛委員 航空法の高さ制限の特例承認が認められたが、どのような内容で、まちづくりにどのような効果が期待されるのか。 228 △住宅都市局長 航空法の高さ制限の特例承認については、建物ごとに個別審査が行われている緩和承認を、一定のエリア単位で行うものである。その第1弾として、天神明治通り地区地区計画区域の約17ヘクタールにおいて、認められる高さの目安が市役所避雷針と同等と示され、約76メートルまでの建築が可能となり、当地区の市役所付近では約9メートル、建物2層分が緩和されることとなる。これにより、建物低層部のゆとりある空間確保や魅力あるまち並みの形成などが可能となり、新たな企業立地を促す環境づくりに向けて、機能更新のスピードアップが図られるものと考えている。当地区の一部である天神一丁目南ブロック、約3.1ヘクタールにおいては、航空法高さ制限の特例承認を前提に、本市独自の容積率緩和制度を活用した地区整備計画について、地権者と原案を取りまとめており、平成27年4月から原案の縦覧を行い、平成27年8月の都市計画審議会に諮ることを目標として、都市計画決定に向けた手続を進めていく。 229 ◯飯盛委員 これらの国家戦略特区を契機とし、新たな空間と雇用を創出する天神ビッグバンが始動したと聞いているが、どのような内容のプロジェクトなのか、対象エリアやプロジェクトを構成する具体的な事業、効果などを尋ねる。 230 △総務企画局長 天神ビッグバンについては、本市の天神地区において、国家戦略特区による航空法の高さ制限の特例承認を獲得したこの機に、本市独自の容積率の緩和や特定都市再生緊急整備地域の活用、さらには創業支援や本社機能の誘致など、ハード、ソフト両面からの施策を組み合わせることにより、アジアの拠点都市としての役割、機能を高め、新たな空間と雇用を創出するプロジェクトである。具体的には、天神交差点から半径約500メートルの圏内のおおむね80ヘクタールを対象エリアとし、今後10年間で30棟の民間ビルの建てかえを誘導していくものであり、その効果としては、ビル30棟に係る延べ床面積が1.7倍、雇用者数は2.4倍に増加、建設投資効果は約2,900億円、建てかえ完了後の経済波及効果は毎年約8,500億円の純増を見込んでいる。 231 ◯飯盛委員 天神ビッグバンは、国家戦略特区や市独自の規制緩和により民間投資を喚起し、市民に大きな経済効果をもたらす取り組みであり、まさに国家戦略特区の取り組みに沿うプロジェクトであると思っている。ただ、こうしたプロジェクトを、単に打ち上げるだけでは、民間投資の喚起には不十分であり、今後、短期間に天神地区のまちづくりを加速させるため、新たな規制緩和策などを検討すべきと思うが、所見を伺う。 232 △総務企画局長 天神ビッグバンについては、本市が次のステージへと飛躍するためのチャレンジ、「FUKUOKA NEXT」の重要なプロジェクトの一つであるとともに、規制緩和により民間投資を喚起するという国家戦略特区の趣旨に沿った取り組みであると考えている。現段階の天神ビッグバンは、既存施策をパッケージ化したものであるが、このプロジェクトを間違いなく成功させるためには、委員御指摘のとおり、今後さらに民間投資の環境を加速させるための取り組みが必要であると認識しており、来年度からは附置義務駐車場の見直しの検討に着手するとともに、新たなインセンティブの方策についても早急に検討を行うなど、関係局一丸となって取り組んでいく。 233 ◯飯盛委員 ぜひ、しっかり取り組んでもらいたい。また、こういったプロジェクトを含め、市民に特区をもっとPRしてほしいが、国家戦略特区の広報にはどのように取り組んでいるのか。 234 △総務企画局長 国家戦略特区に関する広報については、市政だよりの特集記事や連載コラム、専用ウエブサイトなどを活用した幅広い市民への情報発信を行うとともに、特区の情報をよりわかりやすく掲載した広報誌「FUKUOKA特区通信」を発行している。また、国内はもとより、海外からも本市の特区に対する注目が高まる中、多くのメディアから、市長に対するインタビューや講演などの依頼を受けており、このような機会を活用して積極的な情報発信を行っている。こういった取り組みに加え、今回始動した天神ビッグバンのように、特区で実現した規制改革と市独自の規制改革やハード、ソフト両面にわたる既存施策をパッケージとして組み合わせ、経済効果を含めてわかりやすく打ち出すなど、広く市民や事業者に特区のメリットや効果が実感されるよう取り組んでいく。 235 ◯飯盛委員 創業特区の取り組みについては、新たに起業する人のための特区であるかのような誤解が生じているように感じている。そもそも創業特区の取り組みは、新しく事業を起こす人はもちろんであるが、既存企業がこれまでに培った経験を生かして新しい事業を始めることについても、重要な柱として応援するものだと認識している。これまで地域経済を支えてきた中小企業が、時代に合わせて新たな事業に一歩踏み出すことこそが、本市の飛躍を支える力になるものと考えている。このことをより多くの人たちに知ってもらい、自分のこととして創業特区に参加してもらうことこそが、今後の特区の成果を左右する鍵となるのではないかと考えているが、創業特区の取り組みを通じて、本市の経済振興を図るに当たって、既存企業の新たなチャレンジを応援した取り組みの事例や、今後の取り組みの姿勢について尋ねる。 236 △経済観光文化局長 既存企業の新たなチャレンジを応援する取り組みの事例について、スタートアップカフェでは、新規事業の立ち上げのための相談、助言や関係機関や団体とのネットワークを活用した支援を行っており、創業者だけではなく、既存企業が新たな分野に取り組む際にも活用されている。具体的な事例としては、地場中小企業が能古島の蜂蜜をブランド化し、製造、販売する新たな事業展開を図るに当たり、スタートアップカフェにおいて、事業計画の策定などについて相談、助言を受け、新たな法人を設立して、6次産業化ファンドの出資を受けた案件などがある。今後の本市の取り組みの姿勢については、本市の創業特区は創業企業の成長を支えるとともに、既存企業が新しい分野にチャレンジする、いわゆる第2創業を促進することにより、新たな価値を創出し、雇用を生み出し、地域経済の発展を図っていきたいと考えている。新年度の本市の事業としては、新たに販路や実績を持つ既存企業と、最先端のサービスや製品を持つ創業企業とのビジネスマッチングを促進する交流会を年2回程度開催し、既存の中小企業が新たな分野にチャレンジする機会の創出に取り組んでいく。今後とも、既存の中小企業も活用できる規制改革を含め、国家戦略特区を活用した中小企業の振興にしっかりと取り組んでいく。 237 ◯飯盛委員 挙げられた事例などは、地元の中小企業にほとんど知られていないと思われ、そういった活用方法があることも、ぜひPRするよう要望しておく。また、せっかく獲得した特区を市民のために最大限に活用するためには、創業分野とあわせて、より幅広い分野で規制緩和を積極的に提案していくべきと思うが、所見を伺う。 238 △総務企画局長 これまでも、創業に直結する規制緩和だけでなく、創業環境を整えるという観点から、MICE振興を初めビジネス環境、医療、住宅など、幅広い分野で規制改革等を検討し、提案を行っており、今後も引き続き市民生活の向上や地域経済の活性化につながる規制改革等について幅広く検討し、提案を行っていきたいと考えている。 239 ◯飯盛委員 国家戦略特区の集中取り組み期間も残すところ1年である。今後は、これまで以上に特区の成果が求められる時期に入っていくが、国家戦略特区をエンジンとして、創業や雇用創出、地場中小企業の活性化などにどのように取り組んでいくのか、市長の所見を伺う。 240 △市長 国家戦略特区については、国に対する規制改革の提案や市の施策を充実させ、創業を促進する取り組みと創業環境を整える取り組みを有機的に組み合わせた一体的な政策パッケージによって、新たなビジネスと雇用を生み出していくこととしており、今回始動した天神ビッグバンを初めとする関連プロジェクトを推進していく。また、スタートアップカフェの機能強化、女性やシニアに注目した創業支援によって、多様な人材の創業を支援するとともに、既存企業の販路や経験と創業企業の新規性やアイデアをマッチングすることなどにより、新たなビジネスの創出を促し、地場中小企業と創業企業がともに大きく成長していくことを目指していく。こうした取り組みを通して、地域経済が活性化することにより、雇用が生まれ、新しい商品やサービスによって、市民一人一人が暮らしの豊かさを実感できるようになることで、都市の成長と生活の質の向上の好循環をより確かなものとしていきたいと考えている。今後とも、国家戦略特区を推進エンジンとして、国内外からチャレンジしたい人と企業が集い、新しい価値を生み続ける都市、グローバル創業都市・福岡を目指していく。 241 ◯藤本委員 27年度予算に関し、国の中枢管理機能の九州大学箱崎キャンパス跡地への移転について質問する。本市においては、都心部の建物の戦後初の大更新時期が到来しており、JR博多駅周辺や天神明治通り地区を中心に、都心再整備の機運が高まっている。また、都心部に近接する六本松地区、箱崎地区においては、九州大学統合移転事業の進捗により、跡地利用やその検討が進展している。このような状況から、本市が継続的に成長を続けていくための重要な時期が、まさに今到来していると言える。まず、本市の成長に向けて、重要な地区の一つである九州大学の移転跡地のまちづくりについて尋ねる。九州大学箱崎キャンパス跡地については、これからいよいよまちづくりが本格化していくと思われるが、九州大学箱崎キャンパスの跡地利用に関する、27年度の予算について尋ねる。 242 △住宅都市局長 九州大学箱崎キャンパス跡地に関する27年度予算は、委託費など2,800万円を計上しており、道路、公園等の都市基盤やまちづくりのルール等について、具体的な検討を行うこととしている。 243 ◯藤本委員 九州大学とともに検討を進めていた箱崎キャンパス跡地利用計画が策定されたと聞いているが、計画の目的及び内容を尋ねる。 244 △住宅都市局長 九州大学箱崎キャンパス跡地利用計画は、跡地の計画的なまちづくりと円滑な跡地処分を進めることを目的に、本市と九州大学で策定したもので、都市基盤整備、土地利用の方針やまちづくり誘導手法、全体スケジュールなどを示したものである。 245 ◯藤本委員 歴史を振り返ると、100年以上前までは、九州の政治、行政の中心は熊本市であったが、九州の中心が熊本から福岡に移ってきた主な要因は2つあると考えている。1つ目は、九州大学の存在である。約100年前に、箱崎の地に九州帝国大学が開設されているが、誘致に当たっては、財界、行政の熱心な誘致活動に加え、地元住民の多大な貢献により、当時有力と言われていた熊本ではなく、福岡への立地が実現できている。以降、九州大学は多くのハイレベルな人材を輩出するとともに、福岡の文化度を高め、さまざまな分野において、本市のみならず、九州、日本、そしてアジアの発展のために大きな役割を果たしてきている。福岡の発展の2つ目の理由としては、都心部の都市基盤の整備と、それに伴う国の行政機関の立地が挙げられる。戦後、戦災復興やJR博多駅前の土地区画整理事業により、都心部の骨格を形成し、さまざまな都市機能がこの福岡に集積してきた。特に、九州を管轄する広域的な中枢管理機能として、国の行政機関がJR博多駅筑紫口周辺に集積したことで、民間企業が九州支社、支店を福岡に設置するなど、情報都市としての本市発展の原動力になっている。つまり本市は、九州大学の設立と国の行政機能の集積により、九州の中心都市として成長してきたと考えている。現状を確認する意味で、現在、本市にどのような国の行政機関があるのか尋ねる。 246 △総務企画局長 総務省が公表している、福岡県内の国の行政機関等所在地一覧によると、本市内に所在する国の行政機関は、九州経済産業局、九州地方整備局、九州運輸局などの九州圏域を統括する機関を初め、福岡法務局やその出張所、福岡国税局やその管轄下の税務署、福岡労働局やその管轄下の公共職業安定所などがあり、その数は86となっている。 247 ◯藤本委員 これらの国の行政機関が本市の成長に果たしてきた役割について、本市はどのように認識しているのか。 248 △総務企画局長 本市はさまざまな分野で九州の中枢機能を有しており、国の行政機関はその大きな要素の一つであると認識している。九州経済産業局や九州地方整備局など、九州圏域を統括する機関があることにより、九州の中枢拠点都市としての位置づけや知名度が高まり、さらなる機能集積につながっているものと考えている。また、国の機関で働く人、そこに訪れる人などの人の集積が生まれ、情報も集まり、民間企業等の立地にも寄与するなど、本市の成長と機能集積に極めて大きな役割を果たしてきたものと認識している。 249 ◯藤本委員 国の中枢管理機能である行政機関が本市に集積している意味は、非常に大きいと言える。また、本市は、国の中枢管理機能が集積するのに適した場所である。その理由としては、歴史的に自然災害が少なく、首都直下型地震や東南海・南海地震の影響が少ないこと。空港、鉄道、港湾、高速道路等の交通網を初めとした都市基盤が充実していること。民間の本社機能の移転が始まっていること。発展著しいアジア諸国との距離が近いこと。九州大学を初めとした高等教育、研究機関が集まっており人材確保がしやすいこと、などの特性が挙げられる。また、福岡経済同友会から本市に提出された、首都・本社機能等の誘致及び地方創生に向けた意見書の中で、災害時における首都機能の代替拠点だけでなく、首都直下地震等の発生時に、多岐にわたる政府機能を安定的に継続させることや、東京一極集中の是正の観点から、首都機能の恒常的な地方移転、具体的には国の各省庁の一部機能や所管法人の一定割合について、地方移転を率先して進めるなど、思い切った施策を講ずるべきであると示されている。本市にとって欠かすことのできない国の中枢管理機能である行政機関が、今後も本市に設置され、また、首都機能の誘致を行うに当たっては、本市は具体的候補地を提示して、本気度を示すべきである。現在、具体的候補地として考え得る最適な場所は、九州大学箱崎キャンパス跡地である。その理由としては、必要とされる機能に応じた敷地を確保できるだけの広さを有していること。空港、港、JR、都市高速ランプ、国道3号線、地下鉄など、緊急時に重要な交通網が充実していること。福岡県、福岡市、警察との連携がとりやすい場所であること、などが挙げられる。また、現在、九州大学箱崎キャンパス跡地のまちづくりが本格化しようとする中、九州大学100年の歴史に恥じないまちづくりを行うべきであり、箱崎地区は中枢管理機能を持つ国の行政機関である合同庁舎を移転させるのにふさわしい場所であると考えている。約30年前、国により、福岡財務支局の廃止が検討され、存続が危ぶまれている中、福岡市民や各界各層の強い要望と働きかけに加え、当時の市長の強いリーダーシップにより財務支局の存続がかない、本市はもとより、北部九州の今日の発展に大きく寄与貢献している。こうした国や財界を巻き込んだ議論を起こして、事をなすためには、50年、100年先を見据えた市長の強力なリーダーシップが不可欠と考えている。国の機関の庁舎は、災害時には国のバックアップ拠点として機能する施設にもなり得るものである。本市は東京圏バックアップの検討を行っているが、人材的にもバックアップとしての機能が本市には既に存在しており、その機能の充実が必要なときであると考えている。しかし、現在のJR博多駅東側の合同庁舎周辺は、交通が慢性的に渋滞しており、緊急の際に車両で迅速に出動することができない状況にある。つまり、災害対策時の機動力という観点からも、合同庁舎の移転が必要であるということであり、その移転先は、100年に1度の絶好の機会としてあらわれた、九州大学箱崎キャンパス跡地が最適である。九州大学箱崎キャンパス跡地は国道3号線にも面しており、緊急時にも十分に対応できる場所である。かつて九州の中心であった熊本市にしてみれば、九州大学を初め大半の国の機関が福岡市に誘致されたことが、今日の福岡市と熊本市の都市成長の差となっていると、じくじたる思いがあると思う。平成26年12月の熊本市長選で当選した大西市長は、新熊本地方合同庁舎の敷地等を活用して、新たな政府機関の誘致に取り組むといったマニフェストを掲げて当選を果たした。熊本市は、巻き返しに向けた機運醸成を着々と図っている。本市は、国の中枢管理機関を熊本市に取られてよいのか。答えはもちろん否である。地元経済界も、国の中枢管理機能の必要性を十二分に認識しており、合同庁舎の九州大学箱崎キャンパス跡地への移転を強く望んでいる。福岡城址にある国の施設は、既に九州大学六本松キャンパス跡地に移転が決定したが、本市の発展の中で、JR博多駅周辺の合同庁舎移転は一段と重い役割を果たすと考える。情報都市福岡の象徴として、JR博多駅周辺の合同庁舎を初めとした国の行政機関を、九州大学箱崎キャンパス跡地に集約していくべきであり、市長においては、地元経済界の意向を確実に受けとめ、リーダーシップを発揮し、この問題に取り組んでほしいと考えるが、市長に所信と決意を尋ねる。 250 △市長 国の行政機関が本市に集積したことが、今日の九州の中枢都市として、本市が発展してきた礎になったと考えている。九州大学箱崎キャンパスは、周辺の幹線道路が充実していることや、空港、港、鉄道駅に近接していること、さらに、都心部に近い広大な敷地であることなどから、跡地のまちづくりは、本市にとっても大変重要であると認識しており、合同庁舎を初めとした国の行政機関の移転については、国や地元経済界の意向を把握し、今後の検討状況を注視しながら適切に対応していく。跡地のまちづくりに当たっては、福岡都市圏はもとより、九州の発展や成長に寄与できるよう広域的な視点も踏まえ、東京圏バックアップ機能など、防災性強化につながる機能の立地を含めた検討を進めていくこととしており、都市の成長を支えてきた九州大学が存在した地区にふさわしい、そして未来に誇れるようなまちの実現に向け、引き続き九州大学と連携して取り組んでいく。 251 ◯笠委員 みらい福岡市議団を代表して、組合施行土地区画整理事業に対する助成について、市街化調整区域の既存集落における定住化の促進について、西区西部地域における交通問題について、以上3点について尋ねる。最初に、組合施行土地区画整理事業に対する助成について尋ねる。今宿や周船寺などの西部地域では、九州大学の移転を機に、伊都土地区画整理事業の進展とともに、大型商業施設や個別店舗などが立地し、マンションや学生アパートなどの建設が進むなど、都市化が進んでいる。人口については、九州大学の移転前である平成17年と、移転が進んだ平成26年までの9年間で比較した場合、全市の人口増加率が9%増であるのに対し、西部地域では28%増となっており、全市的に見ても西部地域が高い増加傾向を示している。従業者数についても、九州大学の移転前である平成13年と、第1期移転後の平成18年の間で比較すると、全市の従業者数が約0.4%減少したのに対し、西部地域では17%増となっており、全市的に見ても西部地域の増加傾向は顕著である。今後も九州大学統合移転の進展に合わせ、伊都区画整理事業などの大学周辺のまちづくりの進展が期待されている。伊都土地区画整理事業地内では、JR筑肥線の複線高架化及び九大学研都市駅の開業とともに、都市計画道路や駅前広場などが整備され、本市西部の新たな拠点地域及び交通結節点、良好な住宅地として計画的に市街地整備が進んでいる。伊都土地区画整理事業は、完了に向け着々と事業が進められていると思うが、全体事業費と平均減歩率について尋ねる。 252 △住宅都市局長 伊都土地区画整理事業の全体事業費は407億円、平均減歩率は28.3%の見込みとなっている。 253 ◯笠委員 市施行である伊都土地区画整理事業の平均減歩率は28.3%と、これまでに行われた周辺の組合施行土地区画整理事業に比べ減歩率が低いのは、国庫補助金や市費の投入が影響しているのではないかと推測している。伊都土地区画整理事業の全体事業費の収入内訳を尋ねる。 254 △住宅都市局長 全体事業費の収入内訳は、国庫補助金110億2,075万円余、市費121億5,801万円余、保留地処分金104億7,300万円、その他70億4,822万円余の見込みとなっている。 255 ◯笠委員 土地区画整理事業では、土地の区画の変更や公共施設の整備、改善を行うことで、健全な市街地の造成を図り、公共の福祉の増進に資することを目的として事業化されている。区画整理事業の施行者については、地方公共団体、組合、個人など、さまざまな形態があるが、市施行と組合施行をどのように区分しているのか。 256 △住宅都市局長 土地区画整理事業における市施行と組合施行の区分について、市施行については、密集市街地の解消や中心市街地の活性化などの既成市街地の再生を行う場合、また新駅設置、鉄道高架化など根幹的な都市施設の整備を行う場合に実施している。組合施行については、郊外での新たな住宅地の開発等、土地の利用価値の増進が見込まれ、保留地処分金で事業を進めることができる地区において実施している。 257 ◯笠委員 本市では、施行中も含めて、土地区画整理事業は、これまでに何地区、何ヘクタールで行われたのか。また、そのうち組合施行は何地区、何ヘクタールあるのか。 258 △住宅都市局長 本市における土地区画整理事業の施行地区数と施行面積については、施行中も含め、68地区、3,953ヘクタールとなっている。そのうち組合施行については47地区、2,111ヘクタールで、全区画整理施行面積の53%となっている。 259 ◯笠委員 土地区画整備事業においては、地価の下落や保留地販売の不振などの資金調達リスクや、地権者の合意形成や協力体制にかかわるリスクなど、事業の不確実性に伴う費用を、地権者が負うことになる。さらには、長期にわたる会議の出席等、運営上のコストが重なる。地権者主体のまちづくりを推進し、近代的な市街地の形成を図るためにも、本市が応分の負担をすべきであると考えるが、組合施行に対する助成内容について尋ねる。 260 △住宅都市局長 組合施行の土地区画整理事業への助成制度としては、福岡市土地区画整理事業助成条例を定めて助成を行っている。具体的には、都市計画道路等の整備費のほか、都市計画道路等を除く事業費の10分の3を限度として、予算の範囲内で助成できることとなっている。 261 ◯笠委員 土地区画整理事業の事業化に当たっては、公的な助成を得ることにより、地権者のリスクや負担軽減が図られ、区画整理事業に対する地権者の理解や事業採算性の向上などにつながっていくが、組合施行に対する助成要件及びこれまでの助成実績を尋ねる。 262 △住宅都市局長 助成要件としては、施行面積が3ヘクタール以上であること、事業後の公共用地率が25%以上であること、及び地区内において同一法人または同一個人が、所有または共有する宅地面積の合計が地区内宅地面積の3分の1を超えないこととしている。また、助成実績については、昭和48年に助成条例を改正しているが、それ以降に設立された19地区の組合のうち6地区の組合に対して助成を行っている。 263 ◯笠委員 調べたところによると、都市計画道路以外の事業費に対する補助金は、平成元年を最後に、26年間一度も補助金は支出されていない。これでは何のための条例かわからない。伊都区画整理に隣接する北原田尻地区では、戦後、耕地整理が行われ、整形に区画された、きれいな田園地帯のど真ん中を市道学園通線が斜めに通過するため、不整形な残地や過少な残地が発生する。そこで、背後用地も含めた一体的かつ計画的なまちづくりを行うため、地権者が主体となり、地域の課題解決に向けて土地区画整理事業の検討が行われている。九州大学伊都キャンパスへの主要なアクセス道路である市道学園通線と、国道202号との交差点を核とする当区画整理事業は、西部地域における拠点として重要な役割を担うことから、本市としての支援の姿勢について尋ねる。 264 △住宅都市局長 北原田尻地区については、隣接する伊都土地区画整理事業の進捗や、市道学園通線の供用などに伴い、土地需要の高まりが予想される地区であり、不整形残地などの土地利用の課題解決のためには、計画的なまちづくりが必要であると考えている。このため、土地区画整理法第75条に基づき、準備組合の立ち上げや公共施設管理者等の関係機関との協議など、技術的支援を行っている。 265 ◯笠委員 組合施行の区画整理事業では、技術的な支援ばかりで、金銭的な支援はこのところ行われていない。財政局が金銭的な支援を認めないという話も漏れ伝わっている。本市では、国家戦略特区のうちグローバル創業・雇用創出特区として、創業の支援と雇用の創出に取り組んでいるが、土地区画整理事業で大型商業施設を誘致した橋本地区や伊都地区での従業員数について尋ねる。 266 △住宅都市局長 橋本土地区画整理事業においては、事業開始時に行われた平成18年事務所・企業統計調査及び直近の平成24年経済センサス活動調査で、該当する町丁大字別と比べると、従業員数は平成18年の533人から、平成24年の1,586人へ、1,053人、198%増加している。伊都土地区画整理事業においては、事業開始後に行われた平成11年事務所・企業統計調査及び直近の平成24年経済センサス活動調査で、同様に比べると、平成11年の1,599人から、平成24年の3,375人へ、1,776人、111%増加している。 267 ◯笠委員 土地区画整理事業は、雇用創出についても大きな役割を果たしている。現在、検討が行われている北原田尻地区の土地区画整理事業については、伊都区画整理事業と連携し、九州大学への玄関口となるようなまちづくりを目指しており、西部地区の新しい拠点地域の一翼を担う役割が期待される。また、事業によって生み出される土地には、金融機関や商業施設などの立地誘導を検討されており、雇用創出や固定資産税などの増収といった効果も期待される。例えば、シーサイド百道全域での本市の税収は、23年度で約56億円と聞いている。伊都区画整理事業も、今後、相当の税収があるものと推測できる。これらのことは、区画整理事業が、人と経済活動を呼び込み、都市の成長の実現を図る有効な手段であることの証明である。一方、組合施行の土地区画整理事業では、組合が背負うことになる事業のリスクや技術的な検討に要するコンサルタントへの委託料などのコスト負担は、組合にとって大きな重荷であり、事業化に向けて二の足を踏むことにつながっている。地元地権者の発意によるまちづくりを円滑に進めるため、従来の助成制度の見直しも含む幅広い支援が必要であると考えるが、市長の所見を伺う。 268 △市長 本市では、これまでに市街化区域の約4分の1の面積に相当する区域で、土地区画整理事業が施行されている。組合施行による土地区画整理事業については、そのうちの約半分の区域で施行され、新たな住宅地の開発が行われるとともに、近年では、駅周辺や幹線道路の沿道において商業施設を誘致し、利便性の向上や雇用創出といった効果をもたらすなど、良好な市街化形成に大きく寄与し、本市の発展に多大なる貢献を果たしてきたところであり、その役割の重要性は十分に認識している。組合施行による土地区画整理事業への支援については、引き続き技術的支援を行うとともに、事業内容や採算性などの状況を踏まえながら、助成のあり方を含め、総合的に検討していく。 269 ◯笠委員 北原田尻地区に金融機関などを誘致し、住民が暮らしやすく機能的なものにするため、本市の金銭的な支援が必要であると意見を述べておく。次に、市街化調整区域の既存集落における定住化の促進について尋ねる。市街化調整区域の既存集落では、農林水産業などの第1次産業が衰退する傾向にあり、コミュニティの維持が課題となっている地域がある。先日、西区の北崎地区を回ったが、以前に比べて空き家が目立ち、中には廃屋予備軍と思われるほど老朽化が進んだ空き家も存在していた。また、住人に声をかけてみたが、高齢者のひとり暮らしや高齢者の夫婦世帯ばかりで、子どもが遊んでいる姿はほとんど見かけなかった。想像以上のスピードで高齢化が進んでいる。このまま集落内の空き家の増加や住民の高齢化が10年も続けば、北崎地区に限らず、市街化調整区域の既存集落の多くは、さらに危機的な状況に陥るのではないかと危惧している。このような既存集落を維持していくためには、定住化に向けた取り組みが必要であり、今後は時間との競争になる。市街化調整区域における既存集落の人口減少は、産業の衰退を初め、交通や教育環境の問題、さらには若い世代が地域行事などを敬遠する傾向もあることなど、さまざまな要因によるものと考えている。しかし、以前から指摘しているように、市街化調整区域における建築規制が厳しいこともその要因の一つであると考えるが、市街化調整区域における開発許可制度とはどのようなものか。 270 △住宅都市局長 開発許可制度については、都市計画で定める市街化区域と市街化調整区域の区域区分、いわゆる線引き制度を担保し、良好で安全な市街地の形成と無秩序な市街化の防止を目的とした制度である。この制度により、市街化調整区域においては、良好な自然環境や優良な農地等を保全するため、建築行為を行う場合には、原則として許可が必要となっているが、公益上必要な建物、日常生活に必要な施設、農林水産業従事者や既存集落居住者用の住宅など、一定の建築行為に限って許可できる仕組みとなっている。 271 ◯笠委員 都市計画法による市街化調整区域とは、良好な自然環境や優良な農地を保全することを目的としているとのことであるが、自然環境も農地も、そこに住んでいる人が守ってこそ保たれるものである。行き過ぎた規制が、本来の目的とかけ離れ、山林の荒廃や耕作放棄地の著しい増加の要因の一つになっているとすれば、皮肉としか言いようがない。平成25年12月議会でも、北崎地区の活性化について質問し、集落の活性化のためには開発許可制度の弾力的な運用が必要ではないかと述べたが、その後、行政として既存集落の定住化の促進に向け、どのような取り組みを行ってきたのか。 272 △住宅都市局長 既存集落の定住化の促進に向けた取り組みについて、北崎地区を初めとする各集落において、現在、空き家を活用した定住化方策などが検討されているところである。本市としても、これらの取り組みを支援するため、市街化調整区域では認められていない賃貸住宅について、一定の要件を満たすものは許可の対象とするよう制度の見直しを行うとともに、集落内の活用可能な空き家を把握するため、地域と共働で空き家の調査などを行っているところである。さらに、外部の住民が新規に居住できる住宅や、子や孫の世帯が居住しやすい住宅等が立地できるよう、現在、開発許可制度の見直しを行っている。今後は、平成27年4月から実施する、関係条例の改正に係るパブリックコメントの結果等を踏まえ、市民ニーズや既存集落の実情などに対応した適切な制度となるよう検討していく。 273 ◯笠委員 集落内の空き家が増加傾向にある中、これまで認められていなかった空き家の賃貸化が認められるようになったことは評価する。現在検討されている新たな制度についても、既存集落の定住化に資するものであると期待している。北崎や今津地区など、市内の全ての市街化調整区域は、バスの便は少ないものの、天神から1時間以内で行ける利便性の高い地域である。さまざまな地域の資源もたくさんある。このような可能性を秘めた地域でありながら、人口減少がとまらないということは、一部の離島を除き、本市全域に都市計画法の網をかぶせ、厳しく建築を規制したからにほかならない。このことにより、自然が守られ耕作放棄地がなくなるのであれば、制度として受け入れることができるが、そうはなっていない。さらに、25年度には、市内全域で、いわゆる土砂災害防止法に基づき、土砂災害警戒区域及び特別警戒区域が指定され、市街化調整区域の既存集落の一部も、これらの区域に指定されている。区域の指定は、土砂災害から住民を守るための措置ではあるが、特に、特別警戒区域、通称レッドゾーンでは、社会福祉施設や医療施設など特定の開発行為が許可制とされるほか、住宅など居室を有する建築物については厳しい構造規制がかかる。そのため、既存集落において、レッドゾーンに指定された区域では、今後、さらに空き家や空き地が増加すると思われる。このように、新たな規制も加わる中、既存集落を維持していくためには、いま一度、市街化調整区域のあり方を抜本的に見直す必要がある。そのため、開発許可制度の緩和を含め、市街化調整区域における定住化の促進が急務ではないかと考えているが、副市長に所見を伺う。 274 △中園副市長 市街化調整区域においては、本市周辺部の既存集落等において、特に人口減少や高齢化が進行していることから、農林水産業の振興やコミュニティの維持など、さまざま課題が顕在化していることは十分認識している。このような既存集落の活性化については、現在、総合的な観点からさまざまな取り組みを行っているところであるが、定住化についても、地域住民の意見を十分聴取しながら、開発許可制度の見直しを行うなど、定住化の促進に向けた取り組みをしっかりと進めていきたいと考えている。 275 ◯笠委員 最後に、西区西部地域における交通問題について質問する。西区西部地域は、九州大学統合移転事業や、伊都土地区画整理事業などの大規模な事業が進められ、本市の中でも人口が急増している地域である。西部地域と市の中心部を結ぶ幹線道路については、かつて国道202号であった市道千代今宿線、現在の国道202号、有料自動車専用道路の福岡前原道路の3本のみであるが、市道千代今宿線と国道202号は慢性的に交通渋滞が発生しており、地域住民にとって耐えがたい状況となっている。九州大学の移転は、30年度の完了予定であり、周辺のまちづくりも進展していることから、今後とも人口がふえ、自動車交通量も増大していくことは明らかである。このことから、平成26年12月、西区西部地域全ての自治協議会から成る福岡市西区西部6校区代表者連絡協議会より、自動車交通を、比較的容量に余裕のある西九州自動車道へ誘導する方策として、周船寺インターのフルインター化と、本市内区間の無料化を求める請願が提出され、平成27年2月の市議会で採択された。西部地域には、JR筑肥線と市営地下鉄が相互乗り入れしているが、初乗り運賃が両方の路線に課せられており、JR筑肥線で10円、市営地下鉄で10円、計20円が値引きされているが、地下鉄2号線と西鉄貝塚線の乗り継ぎでは、地下鉄2号線で30円、西鉄貝塚線で30円、計60円が値引きされ、JR筑肥線と市営地下鉄の相互乗り入れに比べ40円多く値引きされている。さらに西部地域の住民が、鉄道ではなく福岡前原道路を利用しようとすれば150円かかる。このように交通問題に対し、西部地域の住民は不公平感を持っているために請願を提出したということをしっかりと認識されたい。市道千代今宿線、国道202号、福岡前原道路の3本の幹線道路を十分機能させ、西部地域の交通円滑化だけでなく、伊都キャンパスへのアクセス向上も図っていくためには、糸島方面にしかつながっていない周船寺インターに、本市の中心部につながる出入り口を新設し、フルインター化するとともに、通行料金の無料化が必要である。2つの請願が市議会で採択され、また、西部地域の住民が深刻な渋滞などの交通問題に悩まされている現実を重く捉え、両案件について、本市は早期に真剣に取り組んでいく必要がある。福岡前原道路は、福岡県道路公社が管理運営を行っていることから、西区西部6校区の住民からは、県議会に対しても請願を出す準備に取りかかっていると聞いている。このような切実な状況を踏まえ、西区西部地域における交通問題に対する取り組みについて、市長の決意を伺う。 276 △市長 九州大学伊都キャンパス及びその周辺については、第9次福岡市基本計画において、糸島半島を圏域とする九州大学学術研究都心の核として、学生や研究者などが新たな知を創造、発信する活力創造拠点に位置づけている。このため、西区の西部地域の交通問題に適切に対応していくことは、この活力創造拠点の形成にとって重要なことであり、将来の本市の成長につながるものと認識している。西九州自動車道の周船寺インターのフルインター化と本市内区間の無料化については、市議会の意向も踏まえ、国や県を初めとする関係機関と協議しながら、しっかりと取り組んでいく。 277 ◯津田委員 大規模スポーツ大会の開催等について質問する。本市では、1995年に開催されたユニバーシアード福岡大会を契機に、国際スポーツ都市宣言を行い、国際スポーツ大会などの積極的な誘致、開催やプロスポーツの振興に力を入れてきた。その後20年が経過し、数々の大規模スポーツ大会が開催され、国際的な知名度も向上するなど、一定の成果を上げている。2019年にはラグビーワールドカップ、2020年には東京オリンピックと、サッカーワールドカップとあわせて世界三大スポーツ大会と言われる大会のうち2つが、2年続けて日本で開催されることにより、我が国における大規模スポーツ大会に対する考え方は大きく変わりつつあり、多くの自治体が大規模大会や事前キャンプ地等の誘致に乗り出している。こうした動きは、今後本市にも大きな影響を与えるものと考えており、これまでの取り組みを振り返り、さらに、2019年ラグビーワールドカップや2020年東京オリンピックに関する取り組みを進める中で、大規模スポーツ大会を開催する意義を明確にするとともに、さらに積極的な取り組みを促進したいと考えている。まず、これまで本市で開催された多くの大規模スポーツ大会のうち代表的なものを列挙されたい。 278 △市民局長 大規模大会の代表的なものとしては、平成7年開催のユニバーシアード福岡大会、平成13年の世界水泳選手権大会、平成18年の世界クロスカントリー選手権大会、平成25年のフィギュアスケートのISUグランプリファイルなどがあり、さらに、平成26年には第1回福岡マラソンを開催した。 279 ◯津田委員 1995年のユニバーシアード福岡大会を皮切りに、本市は数々の世界規模のスポーツ大会を開催してきたが、なぜこのように大規模スポーツ大会を開催するのか、その意義を尋ねる。 280 △市民局長 大規模大会の開催の意義については、大きくは3つある。第1に、青少年を初めとする市民が、世界レベルのプレーを身近に感じることができ、また、選手との交流事業などを通じて、市民スポーツの振興につながること、第2に、大会や参加選手の話題などのニュースが全世界に配信されることにより、本市の知名度が向上すること、第3に、大会参加者や観客など多くの来街者によってもたらされる経済効果などである。 281 ◯津田委員 昨今、MICEという言葉が盛んに取り上げられるように、コンベンションはその経済面やシティセールス面での効果の高さから、都市戦略を語る上でも非常に大きな位置を占めている。中でも、大規模スポーツ大会については、経済面、シティセールス面等での効果に加え、市民に感動を与え、青少年の健全育成にもつながるなど、ほかにはない大きな効果を持つ、非常に良質なコンベンションであると考える。本市で最近開催され、大きな話題になった大規模スポーツ大会と言えば、市民の熱い要望を受け、昨年11月9日に開催された福岡マラソンということで異論はないと思うが、第1回福岡マラソンの実施状況について尋ねる。 282 △市民局長 第1回福岡マラソンは、沿道の事業者や住民の協力のもと開催することができた。1万2,156人のランナーが、マラソン、車椅子競技、ファンランの3種目に参加し、このうち約4,000人は県外からの参加で、海外からも、遠くはブラジル、アメリカ、ヨーロッパなどから144人が参加した。また、42.195キロメートルのマラソン種目については、初めてチャレンジした人の割合が約3分の1であったが、完走率は97.3%で、全国的に見ても非常に高いものとなった。運営スタッフには、延べ3,310人のボランティアを初め競技役員、スポーツ推進委員、警備員、医療関係者等3,189人が従事して大会を支え、また、沿道からは約21万人の熱烈な応援を受けた。 283 ◯津田委員 事業費と経済波及効果を尋ねる。 284 △市民局長 大会にかかわる事業費は、大会運営費に約1億6,000万円、安全対策費に約1億3,000万円、広報、イベント費に約6,000万円、エントリー、記録関係費等に約4,000万円の合計約3億9,000万円となっている。また、経済波及効果については、直接効果が約16億3,000万円、間接波及効果が約8億7,000万円の合計約25億円と推計している。 285 ◯津田委員 福岡マラソンは、第1回目から、参加者、応援する市民の両方から大変好評で、大成功裏に開催された。私もボランティアとして、25キロ地点の今津運動公園にて、街頭警備に従事したが、目の前を通り過ぎる多くのランナーに手をたたき、声をからしながら応援していると、あたかも自分もマラソンに参加しているかのような不思議な一体感を感じた。ランナーは1万2,000人弱であるが、大会関係者、スタッフ、ボランティア、街頭で応援した市民など、大会にかかわった多くの人たちが、福岡マラソンを楽しみ、達成感を味わうことができた、すばらしい大会だと思う。大成功だったとは言え、非常に大規模な大会であり、開催することで見えてきたさまざまな課題等もあるのではないかと思う。特に、応募者が定員の4.6倍にも上り、出られたという声よりも、出られなかったという声のほうが圧倒的に多く、定員の拡大は喫緊の課題である。市民が待ち望んでいた大会であり、始めたからには随時改善を行い、よりよい内容へとステップアップしていくことが必要であるが、第2回福岡マラソンに向け、どのような新しい取り組みを考えているのか。 286 △市民局長 第2回大会に向けて、新たに2つの取り組みを実施する。1つは、福岡・糸島市民枠を1,000人から2倍の2,000人にふやす。第1回大会では、1,000人の枠に1万人を超える応募があり、市民枠の拡大を望む意見等が多く出されたため、2倍にしたものである。もう1つは、ふくおかスポーツ応援募金の新設で、これは、福岡・糸島の未来を担う子どもたちを初めとした市民に、スポーツの魅力に触れる機会を提供するため、趣旨に賛同するランナーに1人500円の寄附を依頼するものである。さらに、10万円以上の寄附の場合には、先着100人ではあるが、出走権を得られる、ふくおかスポーツ応援ランナー枠を設ける。 287 ◯津田委員 去る2月22日に、第9回を迎えた東京マラソンが3万6,000人のランナーを迎え、盛大に開催され、また、北九州市でも、2月9日に第2回北九州マラソンが実施されている。シティセールスの観点からも、福岡のすばらしいスポットを楽しみながら走れるコース設定の検討を進めるとともに、大会を継続している他都市の状況も参考にしながら、よりよい大会となるような取り組みを強く要望する。大規模スポーツ大会という観点から見ると、毎回数千人、数万人の観客を、年間を通じて集めるプロスポーツの試合についても、本市にとって非常に重要なコンベンションではないかと考える。そこで、本市にあるプロやトップレベルのスポーツチームにはどのようなものがあるのか尋ねる。 288 △市民局長 本市にあるチームとしては、プロ野球の福岡ソフトバンクホークス、サッカーJリーグのアビスパ福岡、サッカーなでしこリーグの福岡J・アンクラス、バスケットボールbjリーグのライジング福岡、ラグビートップリーグのコカ・コーラレッドスパークス、ラグビートップ九州リーグの九州電力キューデンヴォルテクスなどがある。 289 ◯津田委員 野球、サッカー、バスケットにラグビーと、非常にバラエティーに富んだチームがあることがわかる。福岡ソフトバンクホークスは、名実ともに日本を代表するチームとしてプロ野球界に君臨し、アビスパ福岡についても、昨年、一昨年と経営問題が表面化するなど厳しい状況が続いていたが、最近では新しいスポンサーも見つかり、今後の躍進が期待できる状況になりつつある。それ以外のチームについては、その活動や市からの支援等について、余り知られていないというのが実情であるが、こうしたチームも市の財産である。これらのチームに対して、どのような支援を行っているのか。 290 △市民局長 プロやトップレベルのスポーツを間近に見て感動する機会や、あこがれの選手と触れ合える環境は、市民にとって貴重で、大切なものだと考えている。各チームが、市民に愛される球団となるよう、子どもたちを中心とした市民との交流事業などを開催するほか、試合日程等のPR、試合会場の確保に向けた調整等の支援を行っている。 291 ◯津田委員 大相撲九州場所についても、今や秋の風物詩として、開催が当たり前といった感覚になっているが、日本中で東京、名古屋、大阪、福岡の4都市でしか開催されない本場所の一つという、非常に貴重な存在であるが、観客数が低迷し、大入りになる回数も減っている。この大相撲九州場所に対し、どのような支援を行っているのか。 292 △市民局長 大相撲九州場所については、その重要性を踏まえ、観客数の増加やファン層の拡大に向けてさまざまな支援を行っている。具体的には、天神、博多地区にある大型ビジョンなどでのCM放映、バナーやのぼり旗の設置、ポスターの掲示など、PRに努めている。また、子どもたちが相撲に接し、興味を持つよう、日本相撲協会の協力のもと、現役力士による小学生相撲教室や市内の小中学生の観戦招待事業を行っている。 293 ◯津田委員 大相撲九州場所は、関係者の努力により、一時期に比べれば観客数も盛り返しつつあると聞いているが、万が一にも、大相撲の本場所がなくなることになれば、これは本市にとって大きな損失であり、こうした事態にならないようにしっかりと支援を続けられたい。市民、特に子どもたちは、福岡で本場所が開催されることによって、伝統ある国技の本物の迫力に接する機会に恵まれているが、市外や県外の子どもたちは見たいと思っても、そう簡単に生で見ることはできない。せっかく恵まれた環境にあるのだから、より多くの子どもたちが本場所を見に来られるよう、さらなるサポートについて検討を要望する。大規模スポーツ大会やプロスポーツ等について、さまざまな支援に取り組んでいるようだが、再度、スポーツの持つ大きな役割、意義を見直し、より一層の振興を図られたい。次に、大規模スポーツ大会の一つとして、先日本市のレベルファイブスタジアムも試合会場の一つに選定された、2019年に日本で開催予定のラグビーワールドカップについて尋ねる。試合会場の一つに選定されたことは大変喜ばしく、経済界や県を初め関係者が一致団結して招致に取り組んだ結果である。また、ワールドカップ2019組織委員会の、本市のポテンシャルについての高い評価と、強力な後押しのおかげだと確信している。ラグビーワールドカップとはどのような大会か、概要を尋ねる。 294 △市民局長 ラグビーワールドカップは、1987年のニュージーランドとオーストラリアの共催による第1回大会以降、4年に1度開催されており、世界三大スポーツ大会の一つと言われている。日本は、これまでの全ての大会に出場しており、ことしイングランドで開催される第8回大会にも出場を決めている。第9回目となる2019年の日本大会は、アジアで初の開催であり、9月から10月にかけて本市のレベルファイブスタジアムを含む全国12の会場において、合計48試合が開催される予定である。 295 ◯津田委員 昔から本市は、小学生から高齢者までラグビー熱、競技レベルともに非常に高いと言われているが、本市におけるラグビーの現状について、説明を求める。 296 △市民局長 本市においては、小中学生のクラブチームが多数活動しており、全国トップレベルのチームも存在している。高校レベルにおいても、ことし1月の全国大会で優勝し、高校三冠を達成した東福岡高校を初め、強豪校が数多くそろっている。社会人レベルでも、国内のトップカテゴリーであるトップリーグにコカ・コーラレッドスパークス、トップ九州リーグに九州電力キューデンヴォルテクスが加盟している。そのほかにも、中高年のクラブチームも活発に活動するなど、ラグビーを楽しみ、応援する土壌が整っており、全国でも有数のラグビーが盛んな都市である。 297 ◯津田委員 本市がラグビーどころであり、ラグビーワールドカップの試合を開催するにふさわしい都市であることも含め、今回の招致につながったと思うが、試合会場誘致までの経緯について、説明を求める。 298 △市民局長 本市では、招致機運を盛り上げるため、平成24年に往年のスター選手を含め、世界中からラグビー愛好家たちが集うゴールデンオールディーズ・ワールドラグビーフェスティバル福岡を開催するなど、招致に向けた取り組みを進めてきた。平成26年8月には、地元経済界を中心に、福岡市招致促進委員会が設置され、その後押しも受け、同年10月に試合開催都市への立候補を行った。12月には、県、本市及び地元経済界等が共同で福岡招致委員会を設立し、活発な招致活動を展開した結果、先日の3月2日に開催都市に選定されたものである。 299 ◯津田委員 試合会場決定までに行われた招致活動はどのようなものか。 300 △市民局長 招致活動としては、昨年12月下旬に署名活動を開始し、わずか1カ月半の間に10万人を超える署名が集まるなど、大きな反響があった。署名は、ことしの2月17日に公益財団法人ラグビーワールドカップ2019組織委員会に提出した。また、1月11日には、ラグビーのクラブチームに所属する少年少女を対象に、ラグビースクールを実施するとともに、2月26日には招致の機運を盛り上げるシンポジウムを開催するなど、活発な招致活動を展開した。 301 ◯津田委員 試合会場の誘致に当たっては、福岡商工会議所を初めとする経済界が中心となって牽引していったことがよくわかる。今後はいよいよ試合開催に向けて動き出すが、大会開催に当たり、本市が果たす役割について尋ねる。
    302 △市民局長 まず、会場となるレベルファイブスタジアムについて、大会が開催できるよう準備を進めていく。次に、運営面について、今後組織委員会と協議しながら、開催に向けた体制づくりなどに取り組むことになる。さらには、市民の盛り上がりが大切であると考えており、各種イベントを通じたPR活動を行うなど、機運の醸成に努めていく。 303 ◯津田委員 市民の機運醸成ということであるが、サッカーワールドカップと比較すると、認知度が低く、特に、直後の2020年に東京オリンピックが開催されることで、その陰に隠れてしまっている感さえある。日本全体のムーブメントを福岡からつくり出していくという意気込みを持って取り組まれたい。世界三大スポーツ大会の一つであるラグビーワールドカップの試合開催が本市にもたらす効果について、所見を尋ねる。 304 △市民局長 まず、本大会は全世界200カ国と地域でテレビ放映され、延べ40億人が観戦すると言われている。シティセールスの面で大きな効果があると考えており、今後のスポーツ大会、さらには他のコンベンション等の誘致につながっていくことも期待できる。なお、他のスポーツ大会よりも開催期間が長く、海外からの来訪者も多数期待できることから、経済的な効果も高いと考える。 305 ◯津田委員 ラグビーワールドカップの大会規模の大きさを考えると、実施に当たっては、よほど綿密な計画を立て、十分な準備を整えて大会を迎えることが必要であるが、大会開催に向けて、今後考えられる課題を尋ねる。 306 △市民局長 会場となるレベルファイブスタジアムについては、スタンドとピッチが近く、臨場感あふれる観戦ができることから、組織委員会より非常に高い評価を得ているが、大規模な国際大会を開催する上で、観客席等一部の改修を行う必要がある。大会を運営する体制づくりについては、招致活動に引き続き、県や地元経済界等とさらに密接に連携していく必要がある。 307 ◯津田委員 キャンプ地の誘致について、考えを尋ねる。 308 △市民局長 キャンプ地については、平成28年春に組織委員会から募集要項等が示される予定となっており、現在情報収集等に努めている。本市としては、県や地元経済界とも連携しながら、キャンプ地招致に積極的に取り組んでいく。 309 ◯津田委員 開催に向けては、大小さまざまな課題が出てくるとは思うが、今回の決定は本市が国際スポーツ都市として一層発展を遂げる上で大きなチャンスでもある。十分な準備を行い、すばらしい試合を開催できるよう努められたい。次にラグビーワールドカップの翌年に開催される東京オリンピックの事前キャンプ地として、スウェーデンオリンピック委員会と結んだ基本合意について昨年10月に、スウェーデンオリンピック委員会との事前キャンプ実施に関する基本合意書が締結されたが、決定に至った経緯を尋ねる。 310 △市民局長 スウェーデンオリンピック委員会から、2008年の北京オリンピックの際に本市で行った事前キャンプの施設や受け入れ態勢に対して高い評価を得た。今回、東京オリンピックの開催が決定した際に、今回もぜひ本市で事前キャンプを実施したいとの強い要請があり、昨年10月に基本合意書の締結に至ったものである。 311 ◯津田委員 通常こうした決定は、早くても二、三年前に行われると聞いており、日本のどこよりも早く、オリンピック本番の6年前という異例の早さでの決定に大いに驚かされたが、スウェーデンオリンピック委員会が実施する事前キャンプの概要について尋ねる。 312 △市民局長 現在の予定では、25日間にわたり、10を超える競技の選手や役員など約150名が博多の森陸上競技場を初めとする各種スポーツ施設で事前キャンプを行うこととなっている。 313 ◯津田委員 これだけ早いタイミングで、国を挙げての実施が決定されたことについて、本市の何がスウェーデンオリンピック委員会から高く評価されたのか。 314 △市民局長 スウェーデンオリンピック委員会からは、本市は多様なスポーツ施設がコンパクトに配置されており、さまざまな競技種目のキャンプを実施するスウェーデンオリンピック委員会にとって非常に効率的であること、また、スウェーデン本国やオリンピック会場である東京へのアクセスが良好であることに加え、練習会場と宿泊施設との交通利便性も高いこと、さらに、北京オリンピックの事前キャンプにおいて、市民から温かい歓迎を受け、ホスピタリティーの高さを感じたことなどが挙げられている。 315 ◯津田委員 本市のポテンシャルがこれほど高く評価されたことは、大変うれしいことである。ことし8月に、イギリス陸上競技連盟が、北京で開催される世界陸上競技選手権大会の事前キャンプを本市で開催すると聞いているが、こうした評価の高さによるものと考えてよいか。 316 △市民局長 イギリス陸上競技連盟については、日本陸上競技連盟から候補地の一つとして本市を推薦され、平成25年9月、平成26年3月、10月と視察を重ね、スウェーデンオリンピック委員会同様、競技施設や交通アクセスなどを高く評価し、決定に至った。 317 ◯津田委員 ヨーロッパでの本市の評価が高まっていることは、大変よいことだと思うが、その期待に応え、今後もさまざまな会場として選定されるよう、万全の体制で受け入れを行う必要がある。ことしのイギリス陸上競技連盟、2020年のスウェーデンオリンピック委員会に対し、どのような受け入れを行うのか。 318 △市民局長 イギリス陸上競技連盟、スウェーデンオリンピック委員会ともに、宿泊施設と練習会場との移動用バスや通訳の手配、練習施設の使用料減免などに加え、子どもたちを中心とした市民との交流事業の開催などを予定している。特に、スウェーデンオリンピック委員会からは、北京オリンピックの際に実施した市民との交流事業が、選手に大変好評だったことから、東京オリンピックの際にも実施の要望を受けている。 319 ◯津田委員 世界レベルの選手との交流事業に参加する子どもたちにとっては、一生の思い出になると思う。このタイミングでのスウェーデンオリンピック委員会の受け入れ決定による効果はどのようなものか。 320 △市民局長 オリンピック開催の6年も前に、日本で最初に事前キャンプ地に選ばれたことは、国際スポーツ都市としての本市のポテンシャルの高さについて、国内外へ大きくアピールできたと考えている。こうした実績が、今後他国の事前キャンプの招致にもつながっていくものと、大いに期待している。 321 ◯津田委員 本市における大規模スポーツ大会開催に関するこれまでの取り組みと、ラグビーワールドカップ、東京オリンピックに関する今後の取り組みについて質問してきたが、市民に活力と感動を与えるスポーツ本来の力が、いかに大きく、すばらしいものであるかということ、また、大規模スポーツ大会が持つ良質なコンベンションとしての可能性が、いかに大きいかということが明らかになった。本市には、この大規模スポーツ大会について、他の自治体にない実績と経験があり、これは大きなアドバンテージである。今後、これらを生かして、大規模スポーツ大会を誘致、開催し、国際スポーツ都市としての地位を確固たるものとして、さらなる発展を目指すことが肝要である。最後に、今後、大規模スポーツ大会の開催にどのように取り組んでいくのか、市長の決意を伺う。 322 △市長 スポーツには人々を夢中にさせ、感動させる大きな力があり、また、そうした力が人々を引きつけ、シティセールスや経済的な効果にもつながっていく。これまで本市としても、大規模スポーツ大会の誘致、開催に積極的に取り組んできたところであり、全国で最も早い東京オリンピック事前キャンプ地の決定、福岡マラソンの初開催、ラクビ─ワールドカップ2019の開催都市への選定などは、26年度の大きな成果であると考えている。今後とも、これに満足することなく、次のステージに向かってチャレンジを続け、子どもから高齢者まで、人々に夢や希望、感動を与え、地域や経済をも豊かにするスポーツの振興に努めていく。 323 ◯川上(陽)委員 自由民主党福岡市議団を代表し、那珂川河川敷の遊歩道の整備について、こども病院を高度先進医療機能をあわせ持つ病院にするという検討について質問する。初めに、那珂川河川敷の遊歩道の整備について質問する。那珂川では、平成21年7月の中国・九州北部を襲った記録的な豪雨により、上流域の那珂川町を初め、市内においても南区の塩原や老司などで浸水被害を受けている。22年度から、福岡県において床上浸水対策特別緊急事業による河川改修工事が進められているが、近年局所的集中豪雨の頻度がふえており、昨年も京都や徳島などで大規模な浸水災害が発生している。福岡県内においても、昨年8月、筑紫野市で高尾川、鷺田川の溢水による浸水被害を受けており、災害はいつ、どこで起きてもおかしくない状況にある。このような災害に備える治水対策は、安全、安心な地域をつくる上で、非常に重要な役割がある。現在福岡県で実施している那珂川の床上浸水対策特別緊急事業では、番托井堰の改築や川の掘削、拡幅工事などが進められている。地域住民は、1日も早い完成を待ち望んでいる。那珂川の床上浸水対策特別緊急事業は、26年度までと聞いているが、現在の進捗状況と今後の見通しについて尋ねる。 324 △道路下水道局長 那珂川床上浸水対策特別緊急事業は、再び災害が発生しないよう、緊急かつ集中的に河川整備を行うもので、福岡県において、22年度から26年度までの事業として改修が進められている。現在の進捗状況は、塩原小学校の東側にある番托井堰の改築工事や老司井堰の上流の河床掘削工事などが行われている。一部の工事が27年度に繰り越しとなるが、ことしの出水期前までには、21年度の豪雨時と同様の流量に対応する河川断面は確保されると聞いている。 325 ◯川上(陽)委員 地域の安全、安心のために、市からも県に対し、1日も早い工事完了を働きかけられたい。今回の那珂川の床上浸水対策特別緊急事業による番托井堰の改築により、その上流の河川内に新たな敷地が生じると聞いている。この新しく生まれる河川敷を活用し、番托井堰の下流からつながる遊歩道を整備するよい機会となっている。那珂川の番托井堰下流側については、河川内に遊歩道が整備されており、日常的にウオーキングやジョギングをする姿が見られたり、河川敷を利用した地域活動も行われたりしている。超高齢社会を迎え、より健康的な生活を送るためにも、ウオーキングなど気軽に運動できる場があることは重要であると考えている。南区には、番托井堰上流の那珂川沿いに弥永西、日佐、横手、高木、宮竹、老司、野多目、三宅、塩原の9つの校区がある。地域にとっても、長年の念願である遊歩道整備への期待が非常に高まっており、先月、これら9校区の自治協議会の代表者と、我が会派で南区選出の打越議員、福岡県議会の加地議長とともに、那珂川左岸側と右岸側、ともに連続した遊歩道の整備について、県に対し陳情に行ってきた。本市も県と協議しており、県においても遊歩道整備を検討しているとのことであったが、現在の検討状況や今後の進め方について質問する。まず、遊歩道整備について、県において検討している区間はどこからどこまでか、また、その延長が何キロメートルか尋ねる。 326 △道路下水道局長 県において検討している遊歩道整備の区間は、番托井堰から那珂川上流の老司、弥永付近までの区間で、延長は約5キロメートルと聞いている。 327 ◯川上(陽)委員 番托井堰の改築により水位が下がることで、新たな敷地が生まれるところと、そうでないところがあり、それぞれで状況は異なるようであるが、南区の那珂川沿いの住民としては、番托井堰から老司、弥永西付近までの左岸側、右岸側ともに連続した遊歩道を整備してほしいと考えている。そこで、新たな敷地が生まれるところについて質問していく。現在、県で実施している番托井堰の改築により、上流側の水位が下がることで、どれくらいの規模の敷地が生じるのか。 328 △道路下水道局長 番托井堰から井尻橋までの、延長約1.5キロメートルの区間で、幅が約5メートルから40メートル程度の新たな敷地が生じると県から聞いている。 329 ◯川上(陽)委員 番托井堰の改築により水位が下がり、新たな敷地が生まれるのは、番托井堰から井尻橋までの区間とのことだが、この新たに生まれる敷地について、今後の遊歩道整備に向け、まずは、どのようなことから始めるのか。 330 △道路下水道局長 番托井堰の改築完了後、まずは、新たに生じる敷地の測量や地盤などの状況調査等を行っていくと、県から聞いている。 331 ◯川上(陽)委員 遊歩道の整備の検討に入る前に敷地の測量や調査などが必要であり、まだ実際の整備までには時間がかかるようであるが、番托井堰から井尻橋までの区間では、地域からの要望にあるように、連続した遊歩道ができるのか。 332 △道路下水道局長 番托井堰から井尻橋までの区間には、3つの橋がかかっているが、橋げたが低い橋梁があることから、今後、地域の意見を聞きながら検討する予定と県から聞いている。 333 ◯川上(陽)委員 地域の人々は、河川敷内で、車を気にせずに歩けることを望んでいる。今後、地域の意見を聞き、可能な限り連続した遊歩道となるよう、県に働きかけられたい。次に、遊歩道はどれくらいの幅員で検討しているのか。 334 △道路下水道局長 遊歩道の幅員については、県において、今後具体的に検討されると聞いているが、本市としては、歩行者や自転車が安全に通行できる幅員が確保されるよう協議を進めていく。 335 ◯川上(陽)委員 遊歩道の幅員は、これから検討するとのことだが、歩行者や自転車が安全に通行できる幅員で、連続した遊歩道が整備できるよう、引き続き県と協議されたい。また、新しく生まれる敷地をより多くの市民に親しんでもらえるようにするには、遊歩道のほかにも公園的な整備が必要ではないか。自然が感じられる良好な景観の中を散策し、安らぎを感じることができると、自分たちの川として親しみを持つ気持ちが芽生えるのではないかと思う。そのためには、自然を感じてもらえるような花々を植えることや、散策路の途中に少し休んで景色を眺めることができるベンチなどの整備も考えられるのではないか。そこで、遊歩道のほかにも公園的な整備を行うなど、本市の協力が必要と考えるが、所見を尋ねる。 336 △住宅都市局長 那珂川の河川敷は、現在百年橋から番托井堰下流にかけて、公園として連続した整備を行うことにより、市民がウオーキング、ジョギングなどに活用でき、都市生活に潤いを与える空間となっている。今回福岡県が行う事業により、新しく番托井堰上流に生まれる敷地については、今後地域の要望を踏まえ、番托井堰下流の河川敷との一体化を図り、さらに多くの人々に利用してもらうため、本市として実施できる公園的な整備や管理について、県と協議を行っていく。 337 ◯川上(陽)委員 遊歩道の連続性や公園的な整備については、ぜひとも地域に親しまれる整備内容となるよう検討を進められたい。ここまで、番托井堰から井尻橋までの区間について質問してきたが、井尻橋上流についても、遊歩道の連続性に配慮した検討を進められたい。番托井堰の改築によって水位が下がり、新たな敷地が生まれるのは、番托井堰から井尻橋までの約1.5キロメートルとのことであったが、井尻橋の上流側の遊歩道については、どのような検討をしているのか。 338 △道路下水道局長 井尻橋の上流側については、新たな敷地は生じないが、今後、県において地域の意見を聞きながら、連続性に配慮した遊歩道の整備について検討すると聞いている。本市としても、連携して取り組んでいく。 339 ◯川上(陽)委員 井尻橋上流については、井尻橋下流と異なり、新たな敷地は生まれないとのことであるが、下流から連続した遊歩道について、しっかり検討されたい。一方で、河川沿いには桜並木や公園があり、昔から地域の憩いの場にもなっている。この桜並木や河川沿いの公園をつなぐことで、連続した遊歩道を整備すれば安心してウオーキングやジョギングをすることができ、さらに多くの市民に利用され、安全で愛される河川になることと考える。そこで、今後検討する遊歩道整備においては、現在の河川沿いの公園が重要な役割を担うと考えるが、現在井尻橋上流から老司、弥永付近までの那珂川沿いにある公園の延長がどのくらいか尋ねる。 340 △住宅都市局長 福岡県が遊歩道の検討を行う、井尻橋上流から老司、弥永付近までの区間にある那珂川沿いの公園については、右岸側は検討区間約3.5キロメートルのうち、公園は約2.0キロメートル、左岸側は検討区間約2.8キロメートルのうち、公園は約0.5キロメートルである。 341 ◯川上(陽)委員 河川沿いの公園の大半は老朽化しており、再整備も必要である。河川沿いの公園に限らず、市内の公園を見ると、老朽化した公園がたくさんある。そのような中、本市では公園の再整備を精力的に進めていると聞いている。そこで、27年度に再整備を行う予定の公園の数、予算額を尋ねる。 342 △住宅都市局長 公園の再整備については、老朽化が進んだ公園や住民のニーズに合わなくなった公園を対象に、優先順位を決めて事業を進めており、27年度に再整備を行う公園の数は38公園、その予算額は9億8,791万円余である。 343 ◯川上(陽)委員 限られた予算で施設の老朽化の度合い等を踏まえて再整備が進められている中、那珂川沿いの井尻橋から上流には、右岸、左岸合わせて2.5キロメートルもの河川沿いの公園があり、一度に全て実施することは難しいかもしれない。しかし、これら河川沿いの公園についても、この遊歩道の検討にあわせて、再整備を検討してほしいと思うが、所見を尋ねる。 344 △住宅都市局長 那珂川沿いの公園は、指摘のように、一部施設の老朽化が進んでいるところが見受けられる状況であり、福岡県が検討を進める遊歩道との一体化を図り、整備効果を高めるためにも、今後県の検討に合わせて、公園の再整備を検討していく。 345 ◯川上(陽)委員 那珂川では、現在でもラブアース・クリーンアップの際など、自治協議会を初め老人クラブや中学校の生徒も清掃活動に参加している。また、河川愛護団体として、那珂川の環境を守る会や那珂川を美しく守る会などが、定期的に河川の掃除などの活動を行っている。この那珂川に、水辺を身近に感じられる連続した遊歩道が整備されれば、自分たちの川として、さらに愛着が湧き、親しみを持って積極的に川と触れ合う気持ちが生まれることと思う。那珂川の床上浸水対策特別緊急事業を整備している県も、事業完了後は、遊歩道整備に取り組むとのことであり、本市としても、県が検討している遊歩道整備に連携して取り組むこととともに、その検討に合わせ、河川沿いの公園の再整備についても積極的に取り組んでほしいと考えるが、副市長の前向きな所見を伺う。 346 △中園副市長 現在福岡県において進められている、那珂川床上浸水対策特別緊急事業については、まずは、早期完成により地域住民の水害に対する不安を1日も早く解消することが重要である。一方、指摘のように、那珂川に親しみや愛着を持ってもらい、地域の憩いの場となるような環境づくりも重要である。本市としても、連続性のある遊歩道や公園の整備などについて、地域の意見を聞きながら、福岡県と連携し、しっかりと取り組んでいく。 347 ◯川上(陽)委員 次に、こども病院を高度先進医療機能をあわせ持つ病院にするという検討について、質問する。昨年11月1日にアイランドシティにおいて、こども病院が移転、開院したが、この新しいこども病院のあり方については、平成20年第4回定例会において可決された、新病院の整備に関する決議において、成育医療機能をあわせ持つものとすること、そして、高度先進医療などの機能拡充について検討することが明記されている。我々自由民主党福岡市議団は、この決議の進捗状況について、本会議、委員会など、さまざまな場面において、繰り返し質問しているところであり、また、毎年行う市予算編成に対する要望の中でも、「市立病院統廃合の再検討」「こども病院に市民病院の機能統合」「こども病院への市民病院の機能統合移転」など、文言を変えながらも、一貫してこども病院並びに市民病院についての機能統合の要望を続けてきた。しかしながら、議会における市長の答弁や我が会派の予算要望に対する回答は、まるでコピーしたかのようなゼロ回答を繰り返していると言わざるを得ない。我が会派の議員による議会での質問に対し、同じ答弁の繰り返しで、平成24年以降の我が会派の代表質問に対する市長の答弁は、いずれも、「引き続き医療環境の状況把握に努めながら検討してまいります」と、判を押したような答弁となっている。また、予算要望に対する回答は、「平成20年6月の福岡市病院事業運営審議会答申を踏まえ、小児医療のさらなる充実とともに、周産期医療を担う医療環境の状況把握に努めるとともに、福岡市病院事業運営審議会の御意見もいただきながら、的確に対応してまいります」となっており、少なくとも私が知るこの4年間は、同じ回答の繰り返しとなっている。我々が、この質問、要望を繰り返してきたのは、公立病院と民間病院の果たすべき役割には、おのずと違いがあるものと考えるからである。総務省の公立病院改革ガイドラインにも記載されているとおり、公立病院の果たすべき役割は、地域において提供されることが必要な医療のうち、採算性等の面から民間医療機関による提供が困難な医療を提供することにある。平成20年の福岡市病院事業運営審議会答申においては、先天性疾患を持って生まれた子どもに対して、成人期段階に至るまで継続的に医療を提供していく成育医療の概念は重要であるとの内容が記載されているが、この成育医療は、まさに本市が担うべき医療機能であり、新しいこども病院には、子どもの医療機能、高度医療機能に特化した成育医療機能を持たせる必要があるものと考えている。それにより、初めて医療を通じた貢献、すなわち子どもから高齢者までの全ての人々が、生涯を通じて安心して暮らせるようにすることに対して市が貢献でき、真の意味で市民のための病院となるのではないか。こども病院は、議会で可決された決議や、我が会派の要望に沿って、小児周産期医療機能に成育医療機能をあわせ持つ、市民のための病院にすべきではないかと考える。そこで質問するが、先日行われた27年度予算にかかわる妹尾議員の代表質問の中で、市長は、「新こども病院においては、小児医療及び周産期医療の充実に取り組んでいるところであり、引き続き医療環境の把握に努めながら、機能拡充を図っていく」と答弁をしているが、この機能拡充には、成育医療機能や高度先進医療機能が含まれているのか。含まれるとしたら、新年度は具体的にどのような取り組みをするのか。また、含まれないとしたら、成育医療機能についてはどのように考えているのか尋ねる。 348 △保健福祉局長 こども病院のアイランドシティへの移転、開院については、平成20年12月に新病院基本構想を策定した後、新病院整備に向け準備を行い、平成26年11月1日に新こども病院が開院した。開院した新こども病院においては、脳神経外科、皮膚科、小児歯科の新設、最新の医療機器の導入、スタッフの増員による最先端の小児医療、周産期医療を提供する準備が整った。こども病院については、新病院基本構想の中でも、将来的な医療機能の拡張の可能性として、成育医療の観点から、妊娠、出生から思春期、成人に至る子どもの全ての成長過程における集学的かつ継続的な医療の提供が掲げられており、今後、成育医療機能についても検討を進めていく。市民病院においては、平成20年9月議会の決議に沿って、平成22年4月の地方独立行政法人化後、同年4月にSCU(脳卒中集中治療室)を、翌年6月にCCU(冠動脈疾患集中治療室)を整備し、平成25年3月には救急外来を設置したことにより、脳、循環部門の高度医療が本格的に稼働し始めたところである。また、平成26年秋に、救急診療棟が増築されたことにより、救急医療体制をさらに強化した。感染症対策についても、病床を整備し、新型インフルエンザ等の感染症発生時には、中核的な役割を担う感染症医療体制も充実させ、市民のために欠かすことのできない病院となっている。今後、建物の老朽化の状況もにらみながら、将来の医療環境の変化も踏まえ、市民病院のあり方について検討していく。いずれにしても、平成20年9月議会の決議を真摯に受けとめ、議会の意見も聞きながら、市立病院のあり方について検討を進めていく。 349 ◯川上(陽)委員 先ほど述べたように、議会の答弁や我が会派の予算要望に対する回答の中では、繰り返し検討していくと述べられている。平成20年の決議について、一体いつまで検討していくつもりか。本気で成育医療機能や高度先進医療機能をあわせ持つ、市民のための病院とするつもりがあるのか甚だ疑問である。市長の答弁を求め、質問を終わる。 350 △市長 平成20年9月議会の決議は重要なものと認識をしている一方、私の就任前から、その前提となるこども病院移転の議論が大変紛糾し、混乱していた。このため、私は市長に就任をしてから、こども病院の移転自体を収束させ、結論を出すことを最重要課題の一つとして取り組み、ようやく去年の11月、無事オープンしたばかりであり、今後は、新こども病院が果たすべき役割をしっかりと認識し、医療機能の拡充を進めていく。また、市民病院については、地方独立行政法人化後、循環器部門における高度医療など、平成20年9月議会の決議に沿った取り組みを進めてきたところであり、今後とも高度医療の充実に努めていくとともに、次の段階として市民病院のあり方についても、医療環境の変化や施設の老朽化、狭隘化の状況なども踏まえつつ、多角的に検討していく。今後とも、平成20年9月議会の決議を踏まえ、将来的な市立病院の果たすべき役割やあり方について、議会を初めとして病院事業運営審議会の意見も聞きながら、しっかりと取り組んでいく。 351 ◯荒木委員 震災対策について尋ねていく。ことしは東日本大震災から4年、福岡県西方沖地震から10年を迎えた。今後、30年以内に警固断層による地震が起きる確率は0.3~6%とされ、阪神淡路大震災発生前の30年以内の発生確率0.02~8%と同程度であり、本市での地震発生の確率は高いとされている。警固断層の地震に備え、減災対策が急がれているが、27年度における耐震診断及び耐震化率に関して、民間施設の補助に関する予算は幾らか。また、過去3年間の予算と執行状況はどうなっているか。 352 △住宅都市局長 27年度の民間建築物の耐震診断と改修の補助事業費等については、1億4,400万円余の予算案を計上している。また、過去3年間の予算と執行状況について、24年度は、当初予算で8,100万円余を計上し、木造戸建て住宅の耐震改修補助の75件など、91件について補助を行っている。25年度は、当初予算で1億1,900万円余を計上し、木造戸建て住宅の耐震改修補助の78件など、90件について補助を行っている。26年度は、当初予算で2億700万円余を計上し、平成27年2月末現在、木造戸建て住宅の耐震改修補助の35件など、40件について補助を行うとともに、新たに建築物の耐震改修の促進に関する法律に規定された、要緊急安全確認大規模建築物の耐震診断補助の9件について補助を行っている。 353 ◯荒木委員 建築物の耐震化に関し、26年度時点における公共建築物、公共土木構造物の耐震診断及び耐震改修の実施状況はどうなっているか。 354 △財政局長 公共建築物については、福岡市公共施設の耐震対策計画の対象としている406施設全てで、耐震診断を実施済みであり、耐震化が必要な260施設のうち254施設で、平成26年3月末までに耐震化を完了しており、その進捗率は約98%となっている。また、公共土木構造物については、福岡市公共施設の耐震対策計画の対象としている174施設全てで、耐震診断を実施済みであり、耐震化が必要な75施設のうち51施設で、平成26年3月末までに耐震化を完了しており、その進捗率は68%となっている。 355 ◯荒木委員 公共施設に関しては、耐震診断を終わり、耐震化も進んでいるとのことであるが、住宅の耐震化率について、20年度時点と26年度の推移を尋ねる。また、今後の耐震化の見通しについて所見を伺う。 356 △住宅都市局長 住宅の耐震化率について、20年時点においては、住宅・土地統計調査によると、住宅総数67万1,500戸に対し、耐震性がある住宅が51万4,500戸であり、約76.6%である。26年度においては、平成25年の住宅・土地統計調査をもとに推計すると、平成27年1月末現在、住宅総数74万3,800戸に対し、耐震性のある住宅が63万5,500戸であり、約85.4%である。また、今後の耐震化の見通しについては、旧耐震設計による昭和55年以前建設の住宅は建設後35年以上を経過しており、建てかえや新築が進むとともに、耐震改修の促進と相まって、耐震化率はさらに向上すると考えている。 357 ◯荒木委員 住宅についても、建てかえ等で今後耐震化が進むということであるが、次に住宅外の建築物について尋ねていく。減災の視点では、不特定多数の人や要援護者が利用する施設の耐震診断、耐震改修は重要である。平成25年に建築物の耐震改修の促進に関する法律が改正され、同年11月に施行されているが、改正では、不特定多数の人が利用する病院、店舗、旅館や避難に配慮を必要とする人が利用する学校、老人ホームなどのうち、大規模な建築物について、耐震診断を義務付け、その結果を公表することになっている。本市において、対象となる要緊急安全確認大規模建築物は幾つあり、耐震診断の進捗状況はどうなっているのか。 358 △住宅都市局長 要緊急安全確認大規模建築物については、54件の対象建築物を把握している。このうち23件は、25年度以前に耐震診断を行っていることを確認しており、現在耐震診断が未了の31件について、法律に規定されている平成27年12月31日までに耐震診断が完了するよう、26年度に耐震診断費の補助制度を創設し、あわせて所有者に対して指導している。耐震診断の進捗状況としては、26年度末までに9件が診断を完了し、27年度には22件が診断を完了する予定となっている。 359 ◯荒木委員 要緊急安全確認大規模建築物以外の民間特定建築物の耐震改修を進める施策が必要だと思うが、所見を伺う。 360 △住宅都市局長 特定建築物の耐震化については、重要な課題と考えており、27年度の当初予算案において、特定建築物の実態調査を行うこととしており、調査費540万円を計上している。耐震化の促進のためには、耐震診断を誘導することが重要であり、調査結果に基づき、必要な施策を検討していく。 361 ◯荒木委員 不特定多数の人が利用する、また、要援護者など避難に配慮を必要とする人たちがいる民間施設について、できるだけ早く耐震化を進めてほしいと思う。次に、被災時においては、早急な市の業務立ち上げが非常に重要である。大地震が目前に迫っている東京都では、既にBCP、いわゆる業務継続計画を作成し地震に備えている。本市の施設の耐震改修は、一定程度、進捗していると思うが、本市におけるBCPの進捗状況を尋ねる。 362 △市民局長 業務継続計画については、これまで災害時において、本市として継続すべき業務の選定や業務を継続させるために必要な体制の検討を進め、現在、最終取りまとめの段階であり、平成27年5月までに策定予定である。策定後は、職員への周知徹底を図るとともに、業務継続計画を踏まえた訓練、研修を重ね、継続的に検証、改善を加えながら、計画の実効性を高めていく。 363 ◯荒木委員 福岡県西方沖地震発生後10年を迎え、地震の記憶は薄れていくおそれがある。災害は忘れたころにやって来ると言われており、減災対策として、早急に住宅及び民間特定建築物の耐震診断、耐震改修の実態を把握するとともに、耐震改修を促進し、備えを怠らないようにしなければいけない。市の業務継続計画は5月までに作成し、その後、訓練等も行うとのことだが、今後、訓練等を実効あるものにすることが非常に重要だと思う。今後の耐震対策に向けて、市長の決意を伺う。 364 △市長 本市においては、最もとうとい人命が失われないことを最重視するとともに、被害を最小化する減災の考え方を基本方針として、建物の耐震改修を初めハード、ソフトのさまざまな対策を組み合わせて災害に備えていくことが重要であると考えている。今後とも、市民の安全、安心の確保のため、地域、事業者、行政の連携をさらに深めるとともに、自助、共助、公助、それぞれの防災力を結集した防災体制の強化を図るなど、災害への備えが万全なものとなるよう取り組んでいく。 365 ◯川口委員 JR九州、JR貨物への固定資産税減額について、子ども・子育て新制度と保育事業について、質問する。まず、JR九州、JR貨物への固定資産税減額について2月の各社新聞報道によると、三島特例延長要請へと掲載されているが、これについて市長のほうには、キーパーソンからの相談や陳情などはあったのか。 366 △財政局長 JR九州等に対する固定資産税等の地方税法による特例措置については、現行制度では28年度までとされており、その延長について、現時点ではJR九州等から相談等はない。 367 ◯川口委員 市長に尋ねるが、個別にキーパーソンから話はなかったのか。 368 △市長 話はあっていない。 369 ◯川口委員 三島特例による減免制度について尋ねる。 370 △財政局長 三島特例は、地方税法附則に基づき三島、すなわちJR北海道、JR四国、JR九州が所有する固定資産について課税標準を軽減する制度である。 371 ◯川口委員 特例措置は過去に5年間の期限が何回も延長され、長期間に及んでいる。特例措置の延長について市や議会に陳情があったことはあるのか。 372 △財政局長 議会の関係では、前々回の延長が行われた年の前年の平成18年に、福岡市議会議長名で、JR九州に対する経営支援策の継続を求める意見書が、衆議院議長等に提出されている。また、前回租税特例措置の延長が行われた年の前年の平成23年に、JR九州から特例措置継続の要望書が、本市に提出されている。 373 ◯川口委員 これだけ新聞をにぎわしておきながら、本市に相談もないとは、ないがしろにされているのではないか。特例措置により、本市ではどの程度影響を受けるのか。 374 △財政局長 JR九州等に対する固定資産税等の租税特例措置による本市の26年度の減収額は約3億200万円となっている。 375 ◯川口委員 影響を受けるのは市だけか。 376 △財政局長 特例措置は固定資産税等に対するものであるため、市町村に対し影響が及ぶものである。 377 ◯川口委員 特例措置を決定するのは国だが、国は影響を受けない。九州全体のローカル線の問題など、本市だけでは済まない問題もあり、国が決定するのはわからなくはないが、本市に相談はあってしかるべきである。さらに今回、JR九州は株式を上場しようとしており、特例措置は株式を公開する際に説明しなければならない重要事項である。特例措置についてJRと国だけで決定するのは、本当におかしいと思うが、本市はどう考えているのか。 378 △財政局長 平成23年12月に閣議決定された税制改正大綱において、「各会社の経営状況や株式上場の動向を勘案し、今後必要な見直しを行います」とされていること等を踏まえ、JR九州に対する当該特例措置については、必要な見直しの検討が行われるものと考えている。 379 ◯川口委員 それは国の考えである。九州の各市においても、特例措置を続けてでもローカル線を残してほしいと要望するところはあると思うが、本市としてはどう考えるのか。 380 △財政局長 当該特例措置については、現行制度では、28年度までの措置とされており、閣議決定等を踏まえ、必要な見直しの検討が行われるものと考えている。 381 ◯川口委員 本市の考えを尋ねている。 382 △財政局長 法律に基づく租税特例措置全般の整理合理化については、今後とも指定都市市長会などを通じ国に要望を行っていく。 383 ◯川口委員 国に要望を行うのはよいが、本市の意見がなければ、要望もできない。本市は、特例措置についてどう考えているのか。国に任せるのか。 384 △財政局長 法律に基づく租税特例措置全般の整理合理化について、今後とも指定都市市長会などを通じ国に要望を行っていくということが本市の考え方である。 385 ◯川口委員 市の考え方を聞いている。国に任せるならそのように答えられたい。 386 △財政局長 先ほど申し上げたことが、本市の考え方である。 387 ◯川口委員 特例措置の延長については本市が直接影響を受けているが、国全体で考える必要があるため、国が決定するのは理解できる。しかし、各市が意見をきちんと述べるべきであり、国任せでは地方分権はできない。市長に何の相談もなく、今回、株式を上場しようとしているが、特例措置の説明は上場の際の重要事項である。この件については、国が本市や九州市長会の意見を聞いた上で、自治体と協議していくべきである。本市のこうした対応ではまずいと思うが、市長に所見を尋ねる。 388 △市長 税の涵養の観点からすると、当然本市としては、税をしっかり徴収したほうがよいと考えている。今後、国において議論するということであるため、どのような議論が展開されるかを総合的に判断し、本市としての方針を決めていきたい。 389 ◯川口委員 影響があるのは地方自治体である。まずは地方がしっかり声を出し、それを受けて国が判断していくというスタンスでなければ、地方分権は進まない。市長は無視されているのである。本市に相談も陳情もないにもかかわらず、株式を上場することや、本市が影響を受けることはどの新聞にも掲載されている。当事者が無視されるようなことがないよう、しっかり取り組んでいただきたいが、決意のほどを尋ねる。 390 △市長 頑張っていく。 391 ◯川口委員 ここは市長に期待するしかないため、しっかりと協議されたい。どちらがよいという話ではなく、地方分権と言いながら、ないがしろにされるのはおかしいということである。次に、子ども・子育て新制度と保育事業について質問する。まず、子ども・子育て新制度とは、どのように変更されるものなのか、その中身を尋ねる。 392 △こども未来局長 子ども・子育て支援新制度においては、保育に関する目的として、保育の量的拡大、確保、教育保育の質的改善が掲げられている。このうち質的改善については、国から示される公定価格、いわゆる運営費において、保育所や幼稚園等の職員給与の改善、1日当たり11時間の保育標準時間認定に対応した職員配置に関する改善などが示されている。 393 ◯川口委員 この中で大変危惧しているのは、保育士が足りないということである。中村学園に聞くと、卒業生の人数以上に募集が来るためどうしようもないとのことである。宮崎の人に聞くと、寮が完備され、給料面でも優位な東京に多くの人材を取られるとのことである。どこもとても苦労している。資格を持った人をうまく活用する仕組みもつくる必要があるし、当然処遇も改善する必要がある。本市の保育士の給与は、一般職俸給表で運用しているが、福祉職俸給表は、若いときに高くなっているため、まず市が福祉職俸給表を採用し、そして、それに準ずる一般保育園も処遇が改善できるようにしなければ、保育士も集まらず、運営もできないと思うが、所見を尋ねる。 394 △こども未来局長 保育士の処遇については、平成27年2月に示された国の社会保障審議会福祉部会報告書においても、社会福祉法人がその役割を適切に果たしていくためには、率先して職員の処遇改善や労働環境の整備等に取り組むことが求められるとされており、まずは、保育所を経営している社会福祉法人等において、保育士等の処遇改善に取り組むよう働きかけていきたい。 395 ◯川口委員 最後に要望するが、今まで本市は、人も集め、質も向上させようと努力してきており、施設面でも、定員より大きくゆとりのある施設を建ててきている。今は、そこに定員増し、入所させているのが実情である。本市がこれまで保育士の処遇改善に努力してきたことについては、国が増額したからその分減らし、他都市と一緒にするという発想ではなく、より一歩先に、しっかりと処遇改善を進められたい。国も保育士の処遇を落としてはならないと言っている。保育協会など関係者と協議していると思うが、無用の対立を起こすことなく、ぜひしっかり議論し、保育士の処遇を守られたい。 Copyright (c) FUKUOKA CITY, All rights reserved. ↑ ページの先頭へ...